「嬉しい!鍛冶さんたちに会うなんて、指輪の時以来じゃない?」
この方のはしゃいだ声に、侍医が俺達の指に嵌めた二つの金の輪を見比べつつ問い掛ける。
「御二人のその指の金の輪を作った村ですか」
「うん、そうよ。すごい腕の鍛冶さんがいるの。デザインお願いしただけで、こんな素敵な指輪を作ってくれた。私が今使ってる針も」
「あの細いものですか」
「そうそう、先生が天竺で手に入れたのより上出来でしょ」
自慢げに顎を上げ、この方は大きく笑う。
「そうでしたか。確かに腕は確かなようですね」
侍医はようやく得心したよう、幾度か小さく頷いた。
「うん。きっと今回もちゃんと作ってくれると思う。すごいわよ、いつか先生にも紹介したいな。
先生なら、役に立つ器具のアイディアがたくさんありそうだし。
私は便利な道具はいろいろ知ってるけど、この時代に即してないから」
「便利な、道具ですか」
この方は半ば残念そうに、そして悔し気に唇を結び、その指を折る。
「そう。注射、血圧計、点滴・・・今も十分利用価値があるはずなのよ。生理食塩液に代わるものは作れるんだし。
ただ注射だとシリンダーにゴムが必要だし、衛生的にも使い捨ての方が良い。プラスチックなんて夢のまた夢だし・・・」
天界語の羅列にも怯まず、侍医は却って愉し気に耳を傾けている。
「そういうものも、全てウンス殿はご存じなのですか」
「とにかく、今回話してくるわ。何しろ鍛冶さんの腕がなきゃダメだし。帰ってきたら先生に相談したい事もあるし」
「判りました。私も天竺や元で見て来た治療道具で、高麗では入手の難しいものかあります。また改めてお伝えしますが」
・・・何なのだ。
この方と侍医は、医療道具の話らしきもので盛り上がっている。
天界の治療道具を持ち込み、鍛冶を紹介した俺は蚊帳の外か。
王妃媽媽の拝診の話を済ませ、さっさと発つと言って下さらんのか。
「あ、キム先生」
出立を急かすよう卓から歩を引き、小さな背から掌を離した途端。
この方はキム侍医に向き直った。
「ちょっと、手、見せて?」
「・・・はい」
キム侍医が訝し気に手を広げ、この方へと左掌を向ける。
この方は侍医の掌を眺め、ご自身の小さな手と見比べる。
そして事もあろうにその掌を、広げたままの侍医の掌へ押し当て握り締めた。
二人の間へ一歩で戻り、その白い手を引き剥す。
何を考えている。たとえ相手が侍医であれ、眸の前で堂々と他の男と手を合わせるなど。
明らかに変わった俺の顔色に動じる事も無く、この方は俺達に等分に頷いて平然と言う。
「ありがとう。だいたいわかった。じゃあ、悪いけど」
卓上の治療道具を一纏めに包んでいた布で包み直して椅子を立ち、侍医へと頭を下げた。
「しばらく留守にするわね。お土産、楽しみにしてて」
「・・・判りました、御二人ともお気をつけて」
呆気に取られた顔で呟く侍医を其処に置き、その瞳が俺へ振り返る。
「じゃあ行こうかヨンア。荷物だけ簡単にまとめちゃうから、部屋に付き合ってくれる?」
そう言って弾むように治療部屋の裏扉へ向かうこの方の横に付き、思わず深い息を吐く。
本当に判らん。この方の考える事が。
疚しい事が無いからこそ、眸の前で手を合わせるとしても。
例え天界では、それが至極普通の触れ合いだったとしても。
俺にはどうしても理解が出来ん。今までもそしてこれからも。
理解しようとも思わん。治療以外で他の男に触れる理由など。
裏扉を力任せに叩きつけるよう開ける俺を、この方が驚いたように仰ぎ見た。

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さらんさん、こんばんは♪
うふふヨンの悋気*(\´∀`\)*:
ヤキモチ妬きね( ´艸`)
ウンスは掌を合わせて侍医のサイズに合うような器具を作りたかったのかな~
手を引き剥がすとか力任せに扉に当たるとか分かりやすいわぁ❤️
ウンスに対する独占欲パンパないヨン素敵~❤️
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自由な天女の振る舞いに
夫なのに… 夫だから
焼きもち焼いちゃう。
( ´艸`) まぁ 目の前で こんなことされたら
そりゃ~ね
はやく ウンス連れて行かなきゃ
独り占めしないと… 気が治まらないかもね
(〃∇〃)
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もう~(^_^;)
ウンスに、高麗の女性の心得をお願いしても、聞いてくれそうに無いし‥
ヨンに、慣れなさいと言っても、無理だろうし‥
でも、結局はヨンが悋気しながらも
、我慢するんでしょうね(^^;
困ったもんですねぇ(^-^;)
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もうヨンはプンプンですね
あろうことか 自分以外の男の掌に
手を合わせるなんて!
ご機嫌斜めのヨンとご機嫌なウンス
無事に巴巽村に着くかしら
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ウンスの事になると小さなことでも我慢出来ないヨン。
やきもち?が可愛い。ウンスはそんなヨンの気持ちも気付かないけどね~f^_^;
でもそんなヨンが大好きですよ~。ウンスが羨ましいです(^^)
これからもお話楽しみにしています!