2016 再開祭 | 소개팅ソゲッティン・結 中篇

 

 

春の陽射しを背負い、光を纏ってふわふわと靡く柔らかな髪の影。
細い肩が急いで駆けて来た証のように大きく上下に波打っている。

そんな大きな音を立てて駆けこんで来ておいて、俺を見つけたこの方は意外そうな顔で、その勢いのまま此方へ駆けて来る。
飛び込んで来そうな勢いに思わず両腕を広げると、寸での処で足を止めた鳶色の瞳が俺を見上げた。

睨まれているのに何処かで思う。ああ、逢えた。
「なんでここにいるの?!」
責められているのに笑みが浮かぶ。声が聞けた。
「なんで?まさかソゲッティンのことで?」
「・・・ええ」

頷くとこの方は言い訳のように、慌てた口調で言い募る。
「違うのよ、深い意味は・・・ううん、あの、意味はあるけど、別にあなたを仲間外れにと思ったわけじゃない。
迂達赤のみんなと武閣氏オンニが仲良くしてくれたらいいと思って、それでカジュアルなお見合いというか、合コンというか・・・」
「敵、とは」
「だって参加する人数が多くなったら、同じ相手を取り合いになるかもしれないじゃない!
ライバルが増えるわ。それに男女の人数が極端に違うのもフェ・・・公平、じゃないし」

そういう事だったのか。頭に恋が付くのだ。恋敵。
知ってみれば笑ってしまう。戦の事しか頭にない堅物の己に。

「結局、見合いと」
「・・・知ってたんじゃないの?」
「今初めて」
「だけどあなたに秘密にってお願いしたのはね、別にだまそうとか思ったんじゃなくて」
「止めると思われましたか」
「え?!」
「知れれば奴らを叱ると」
「えぇと・・・叱る?もしかして、やっぱり怒ってる?」
「・・・いえ」

既に迂達赤中に知れ渡っている。
今更口を挟み止めでもすれば、俺でなくこの方が嘘吐き呼ばわりされるかも知れん。
此処まで広まった以上、眸を瞑らねばならん。

「一度なら」
「ほんとにいいの?怒ってない?!」
「・・・はい」
但しひとつだけ、知った以上はどうにも気掛かりな事がある。

「医仙」
「なあに?」
「そげってぃんとやら、医仙も同席を」
「うん、もちろん?だってお見合いの席に仲人が同席しないって、めちゃくちゃ不親切だし無責任じゃないの」

此方の気も知らず、けろりとした顔で平然と嘯く。
途端に頭に血が上る。たった今その口で言ったばかりだろう。
参加する者が多ければ、同じ相手を取り合いになる恋敵だと。

そげってぃんの全容は未だ掴めん。どんな会合になるのかも。
但しこの方の居る処に男の同席など辛抱ならぬ。
それは相手が迂達赤であろうと変わらない。
ましてこの方が同席すれば、奴ら全員が恋敵になる事も考え得る。

「俺も参ります」

断固とした口調に、この方が紅い唇を丸く開いて声を失った。

 

「ま、待って?それは違うと、思うなあ」
予想外のあなたの申し出に、慌てて作り笑いを浮かべて見せる。

どうしてチャン先生が知ってたのかは分からないけど、迂達赤まで走らずに済んだのはラッキーだった。
この人が部屋にいてくれたおかげで話は早く済みそうだって、ほっと安心したのもつかの間。

どうして?そういうの、一番嫌いそうなタイプに見えたのに。
何で?どこで気が変わっちゃったわけ?どうしてソゲッティングに同席なんて考え付くの?

これ以上ライバルが増えるなんてイヤよ。ほんとに勘弁してほしい。
ワガママだけどあなには私のことだけ考えて欲しい。私のことだけ見て欲しい。
私があなたしか見えないみたいに。
あなたのために、毎朝気合いをいれて、精一杯キレイに見えるように頑張ってるみたいに。
せめて一緒にいられる間だけでも。永遠じゃなくてもいいから。

「あの、私は言い出しっぺだし。だけど隊長だからって何もそんな、そこまで責任とらなくても、ね?」
「取ります」
「えーっとでも、たまにはみんな上司抜きで自由に、羽を伸ばして楽しみたいかも知れないんだし」
「邪魔はしません。羽でも鼻の下でも伸ばせば良い」

しないって言いつつ、何故かあなたの黒い瞳が危ない色に光る。
本当に邪魔しない人なら絶対に、そんな目付きはしないと思う。
「あの、あのね、チェ・ヨンさん・・・」
「はい」
「ほんとに、怒ってない?」
「全く」

ええ、全く。
あなたはもう一度ブツブツ呟いた。ものすごく怖い声に聞こえたのは、私の気のせい?
でももうセッティングは完了してる。あんまり少なすぎても盛り下がった時に困るし、希望者も多過ぎたから。
今回は迂達赤から20人。武閣氏オンニも20人。少なくとも武閣氏オンニは、シングルの美女ぞろいよ?

今さらこの人が来るからやめます、言い出した私からそんな事言える?
美人と会わせたくないんです、これ以上ライバルを増やしたくないんです、一緒にいたいんです、邪魔されたくないんです。
言える?言えっこないじゃない!
そんな私の心も知らずに、あなたは冷静な表情を崩さずに言う。

「一先ず、チェ尚宮の許へ」
「え?!」
「武閣氏も浮足立っておると、気を揉んでおります」
「そうなの?チェ尚宮様まで知ってるの?!」
「はい」
「じゃあ・・・お詫びに行かなきゃダメよね?」
「お話頂ければ早いかと」
「気が重いなあ・・・」

私が肩を落とすと、あなたが元気づけるように背中をそっと押してくれた。
「俺が取成します」
何より信じられる頼りがいのあるそんな声に、どうしても素直に頷けない。
だってあなたもソゲッティングに参加したいから、そんなに張り切ってるんでしょ?

「ねえ?」
背中に回された手に寄りかかりたい気持ちで、あなたの黒い瞳をもう一度見上げる。
その瞳が何ですか、って言うように、まっすぐ私に降って来る。

「ほんとに、あなたもソゲッティングに来るの?」
「二言はありません」

本気なのね・・・?
そうよ、面倒くさがりの寝太郎の正直者がわざわざそんな嘘つくわけないじゃない。
「ああもう、ユ・ウンスのバカ!」

独り言のつもりで呟いたのに、あなたは何故か深く深く頷いた。

 

 

 

 

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4 件のコメント

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    今晩は、良いですね。物語を、載せるのが、上手です。いつまでも読みたいと思ってます。身体に、気を付けて無理無く載せて下さい!

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    >ハピネスさん
    初めましてhinami と申します。
    いいね!ポチですが、私も以前に
    経験が有って、お役に立つか分かりませんがお知らせします。
    多分アメーバ登録の関係で
    ハピネスさんが、アメーバに登録
    されてる、IDとパスワードを再度入力されたら解決すると思います。
    1度お試しくださいね。

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