「戻りました」
そう言って宅の玄関に踏み入ると、小さな足音が近付いてくる。
駆け寄るではなく、かといって拒むでもないと、チェ・ヨンは小さな響きから判じる。
「お帰り」
小さなウンスの体が、広げたチェ・ヨンの腕の中へ落ちてくる。
嫌われているわけではないと、ようやくほっと息をつく。
「どうかしましたか」
落ちて来た体を支え、背を大きな掌で撫でてチェ・ヨンが問うと、ウンスは何も言わずに首を振った。
様子がおかしいのは相変わらずだ。
普段ならば帰宅を出迎えるようにこの頬に、頸に、手首に伸ばされるはずの温かい指が、今日はまだ触れぬ。
辿られるこの肌は、これ程恋しがっているのに。
眸を覗くはずの瞳が、まだ合わぬ。この眸はそれを待ち望み、この方をじっと見つめているのに。
それでも今宵は良い報せがあると、チェ・ヨンは己を奮い立たせる。
「イムジャ」
「ん」
チェ・ヨンの腕の中、固い胸に横顔を埋めたウンスが短く返す。
「明日の昼、内向きの候補が面通しに参ります」
「え?」
胸に伏せていた顔を上げ、丸い目で己を見上げるウンスを見つめ、チェ・ヨンは静かに頷いた。
「明日昼に此処へ来るよう手筈を整えました。叔母上も同席します。一緒に如何ですか」
「会う会う、絶対会う!」
張りの戻ったその声に安堵の息を吐き、チェ・ヨンは頷いた。
「今宵は、外で飯を」
「ううん、誰か決まれば私が作る事も少なくなるし、今日は作るわ」
「では、共に作りましょうか」
「え?」
「俺が出来る事など、たかが知れていますが」
「ヨンアは疲れてるし、駄目でしょ」
「それはイムジャとて同じでしょう」
むきになり張り上げた己の声に楽し気に笑うウンスの様子を眺め、少しだけ近付いて言ってみる。
「イムジャ」
二人きりであるのに声をひそめたチェ・ヨンを怪訝そうに見返すと、ウンスは首を傾げた。
「何?どうしたの?」
「・・・俺は、それ程大丈夫そうですか」
「え?」
予想もしなかったチェ・ヨンの問いに、ウンスは頓狂な声を上げた。
その瞳から目を逸らしあらぬ方を向き、小声でチェ・ヨンは続ける。
「大丈夫そうに見えますか」
「大丈夫そうに、え、あ、大丈夫そうに・・・」
ウンスは思い出したようにその指で、そっぽを向いたチェ・ヨンの両の頬を優しく押さえつけて、自分へと振り向けた。
その頬を撫でて、顔色を診る。額に指を当て、熱を測る。
黒い深い瞳を自分の茶色い瞳で覗き込むと、ようやく安心したように、黒い瞳の奥がゆるりと溶ける。
微笑んだウンスはチェ・ヨンの頸に、そして手首に指を当て脈を取る。
「うん、大丈夫。主治医の太鼓判よ、安心して」
ふざけたようにウンスが言って、ようやくチェ・ヨンは頷いた。
指に伝わるこの人の脈拍。何よりも確実に刻む鼓動。
この脈があるだけで、その息があるだけで、他には何もいらない。
最後のひと打ちまで、最後のひと呼吸まで、私が護りたい。
そう思いながら、ウンスは息を詰める。
また泣きたくなって、鼻の奥が痛い。
涙が零れないように見開いた目の奥も。
この人が心配するから、泣きたくないのに。
なのにこうやってあなたの心音を知るたびに、泣きたくなる。
何よりも優しくて、何よりも強いこの鼓動。
絶対に裏切らない、一人にしない、そう繰り返す心臓の動き。
どうしてあなたに逢えたんだろう。どうして私を見つけてくれたの。
そしてきっとまた巡り逢う、次も、そのまた次も。
まるで方位磁石が必ず北を指すように、私はあなたを見詰めるはず。
そして思うはず。なぁに、あのおかしな男って。
また担がれて、怒って、喧嘩して、逃げようとして手を焼かせて。
好きで、伝えられなくて、目を逸らして気持ちに蓋をして、でも忘れられなくて、あなたのもとに走るんだわ。
何度でも呼ぶ。ねえ、そこにいる?
あなたはきっと返す。此処にいる。
触れあう程近くても、時空を挟んだ彼方でも、必ずきっと。そうよね?
ウンスの見開いた瞳から真っ直ぐ落ちた涙に、チェ・ヨンは 握られたままの手首を僅かに引いた。
「イムジャ」
その驚いたような声音に、ウンスが首を振った。
「違う、違うの」
チェ・ヨンの顔を仰いで、ウンスはようやく震える声で伝える。
「怖いの」

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あ~ん
いろいろ考えたら キリないね
伝えるには もどかしくって…
ヨンには さっぱりかもしれないけど…
もうちょっとだけ、 もうちょっとだけ
ウンス…
がんばれ~
のりこえろ~
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ミノssiに妄想中のさらんちゃんだから
「はぁ~?よっしゃぁ~?」
わからないだろうなぁ・・・・(=⌒▽⌒=)
いいの!いいの!
私は小さい人間だから
6⇒5⇒4⇒3⇒戻った1が
今日の和歌山温泉旅行よりも
嬉しかったりするんです( ´艸`)
ミノssiには会いに行けないかわりに
23日横浜アリーナ行く私を
どうか許してくだされヾ(@^(∞)^@)ノ
って、そんなことより
ちょっとちょっとウンスヤ!
もう~何が「怖いの」よ!( ̄へ  ̄ 凸
こんなカッコいいミノに・・・・いや
ヨンアにこんなに愛されて大事にされてるのに
ええやん!もう!
ちょっとパボになって小躍りするくらい
この幸せをかみしめてみな!!
言ってるまにマンボが
「クッパ食べな!」って叱りにくるよ(;^ω^A
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いつもは元気いっぱいのウンスさん、どうしちゃったのでしょう?
次に種明かしがあるのかな?待ち遠しいです。
それにしても、ヨンのそんなに大丈夫そうに見えますか?って、、、もうやられちゃいました!ー