2016再開祭 | 桃李成蹊・番外 ~ 慶煕 2017・序篇

 

 

【 桃李成蹊・番外 ~ 慶煕 2017 】

 

 

しんしんと底冷えのする冷たい回廊。薄暗いその突当りに独り、呆然と立ち尽くす。
目前に伸びる回廊の先、丁字の廊下に行き交う人の気配。

見知らぬ場所に独り放り出され、目の前に廊下があれば如何するか。

俺は一先ず其処へ出て人の気配を探す。
ざわついた冷たく滑る廊下を、数え切れぬ者が右へ左へ駆けて行く。
纏う衣も様々だ。
堅苦しい細身の上下揃いの年嵩の集団、逆に無闇に余った布を翻して走って行く若い者。
あの方の紅い髪どころではない。これが人の髪かと思うような、碧や金の髪の者までが眸の前を通り過ぎる。

その者らは俺の姿を見て足を止め、鎧姿の俺を頭の先から爪先まで驚いたように確かめ不思議そうに首を捻った後
「あ、おはようございます!」
「お疲れさまです!」
そう深く一礼してから再び駆け出していく。

なんかのシークレットか?
史劇イベントですかね?聞いてないけど・・・
さすがに何を着ても似合うね。
俺みたいな下っ端が、会えると思わなかった!

額を突き合せるようにそんな密かな囁きを、仲間内で交わしながら。
各々が勝手な場所へ行くのを見れば、誰を尾けても正しい場所に導かれるとは思えない。
己の勘頼みという事かと素知らぬ顔で、立ち止まらずに廊下を過ぎる。
こんな処で余所者だと騒がれ、足止めを喰らう羽目には陥りたくない。

本来見知らぬ処で左右も判らず動き回るとは、即ち敵に遭遇する可能性が高くなる事だ。
しかしこの光景。慌ただしい雰囲気。行き交う者の気配。妙な挨拶。
俺を見る視線。それに厭というほど覚えがあるから、此処に敵など居らぬと確信がある。

居るのは恐らく懐かしい、あの時二度と会えぬだろうと思った男。

そんな時、目の前に開けろと言わんばかりの扉があればどうするか。

俺は一先ずそれを細く開け、隙間から中を確かめる。
そして一度深く息をし丹田に力を籠め、声も掛けずに押し開く。

前触れもなく開いた扉に、部屋内の者たちが一斉に振り返る。
咄嗟に動いたのは扉脇、揃いの黒い上下衣を纏う屈強な男ら。
反射的に半ば身構え此方の顔を確かめた後、男らは心底戸惑うような視線を部屋奥へ投げた。

誰が見ても他人には見えぬだろう。悩むのも当然だ。

踏み込んだ部屋内に満ちる柔らかな色の幾つもの偽の灯。
何処からか確かにこの髪先を揺らす風が吹いているのに、それにも微動だにせぬ天井の灯。

偽の灯に照らされて、部屋奥に並んだ忘れようのない幾つかの顔。
それを再び見る為に此処に引き寄せられたような錯覚すら覚える。
「・・・ヨ」

そのまま茫然と口を開け、部屋奥からこの顔を指す男。
「ンさん、ですか?え?その恰好は?」

男は次の言葉を継げず、長椅子から弾かれたように立ち上がり此方を見つめる男の肩に触れた。
それは其処に立つ王に報せるようでもあり、王が確実に其処に立つ事を確かめるようでもある。

奴の周囲はいつも仄明るい。
寛がせる如く、労わる如く、目に刺さる灯の届かぬ処に王座を据えている。
そうだ。この世の唯一無二の王は其処にいる。
此方側に立つ俺はこの世に再び迷い込んだ仮初の闖入者。

肩を握られた男は判っていると言いたげに頷き返し、ゆったりした足取りで灯の下を此方へ歩み寄る。
そして俺は屈強な男らを尻目に前を素通りし、その男へと近付いた。

あの夜初めて近寄った時は、互いに三歩の距離を空けた。
敵意と無視との境界線。
それ以上踏み込めば斬る、そして斬られる覚悟がある、その意思表示の水際まで。

此度は互いにそんな気など、微塵もない事は判っている。
奴は俺へ長い腕を伸ばし、俺は奴の肩に己の鎧の肩をぶつける。

「来てくれるなんて信じられないよ、ヨンさん」
「・・・元気か、ミンホ」

互いにそんな短い邂逅の声を交わし合う為に。

硬い鎧をぶつけられ細身の肩に重さを感じたか。 ミンホは驚いたよう一歩退き、この頭の先から爪先までを眺めると
「本当に武士なんだね、ヨンさん」

周囲の者たちの耳目を気にしたか俺だけに届く小声で囁くと、その顔に屈託のない大きな笑みが広がった。

 

 

 

 

櫻祭・ヨンがやって来た♪バージョンお願いいたします!
さらんさま、ヨンを私たちの時空へ招待して下さいませ
多くの女人が待ち焦がれてえております♪
...これって、いわゆるファンミ希望ですか?
さて、画像認証、小文字になるか?コピペってなに?
そんな私も・4番・めざしております(kinsi-ginsiさま)

 

 

リハブを兼ねた一服処も書きたかったお話を一通り書き終えました。
ヨンで下さったメンバー様、ありがとうございます❤❤
この後は今まで通り、あちらは【花男 韓国ver】と、急に書きたくなった時の
ヨンのお部屋にしたいと思います。

そしてリクエスト祭、再開しました。
気が付いたんですがこのリク祭を始めたのが2016年の5月4日、
ゴー!ヨンの日。ちょうど1年前でした。
そしてその日は幕張のびっべんのふぁんみの日でもあったのでした。

今年は東京DOME 5/30.・31❤(行く気満々です)
こんなブログに此処までお付き合い頂いてありがとうございます。
ちょっとずつ、復活です。

そして5/9 0:45(5/8の深夜)・朝07:45からはアベマTVで【 信義 】放送開始!
やった~~!!(DVDなどを持ってる事はこの際忘れておく)

ああ、逢いたかった・・・UPせずとも書いてはいたので、私自身は特に久々、という感じではないのですが。
花男・相続者たちだけでなくチノも書かせて頂き、イ・ガクとか主君とかダニエルさん、
コロ、シヌヒョンまで書いてもやはりヨンに逢いたかった。
しかし書いてる間にユチョンさんは結婚発表、アインさんは入隊の身体検査、
【運命・・・】のアベマ放送開始、そしてミノ氏の5/12公益着務発表と、因縁を感じる今日この頃ㅋㅋㅋ

まずはこのリク話を全て終えてから、本編に戻るつもりでおります。
まだまだリク話が続くかと思いますが、お付き合い頂ければ嬉しいです❤

 

 

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8 件のコメント

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    いつもなんのコメントも感想も書かずに読むだけですみません。
    でも、いつもさらんさんのお話を楽しく読ませていただいてます。
    今日は、質問があって…
    説明文の中で「あちら」とありますが、どちらでしょうか?
    花男のお話を別のブログで書かれているのなら、それも読んでみたいです。

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    さらんさんおはようございます(*^^*)
    会えたよ。
    さらんさんうちのヨン。
    少しづつ落ち着かれておられなによりです。
    ご自愛の賜物ですね♪(#^.^#)
    いつも読者は愛してくださり
    感謝です。
    よろしくお願いします。( 〃▽〃)

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    鎧姿のヨンとミノ氏の再会に、背筋がゾクゾク♡しています!
    かつて、さらんさまが
    リクエストに応えて上梓された「櫻祭」
    ずっと心に残って忘れられませんでした。
    2016再開祭も「貴音(序章)」から1年が過ぎたのですね。
    447話に、日々、魅せられて、今日に至ります。
    わたくしにとって、望外の温情となりました「ヨン番リクエスト」です。
    参加させて頂き、ほんとうにありがとうございました。
    心より感謝を申し上げ
    心より楽しませていただきます。

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    待ってました\(^-^)/
    さらん姉ヨンお帰りなさい
    心のリフレッシュできたかな?
    日々読めないアメンバー限定で
    ジレジレだったけど
    いいのよ!だってヨンじゃなかったから
    (負け惜しみじゃ~~笑)
    さらん姉が復活してくれたことが嬉しいわ
    現代にきてミンホと再開!うんうんパート2!
    大好きなお話し続編でーーーん?ウンスは?
    アメバTVで始まる「信義」とリンクさせながら
    楽しみが2倍 情報ありがとう!
    さらん姉の心と身体がいつも元気で
    ありますように⤴⤴⤴
    元気なさらん姉が見せてくれる信義の2人に
    癒されてるファン?号より(^^)/

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    アメンバーの記事は読めないので、こうして
    全公開のお話を又、読ませて頂ける事とても
    嬉しいです。有難うございます。
    毎日、更新して頂けそうですか?
    でも、決してご無理のない範囲で
    お願い致します<m(__)m>

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