2016 再開祭 | 소개팅ソゲッティン・結篇(終)

 

 

「そうだったんだ、やっぱりね」
小さく烈しい息の下、この方が珍しく低い声で言った。

「矢張りとは」
「急に来るって言うんだもの、何かおかしいと思った!」
「それは」
「男なんてそんなものよ、キレイな人が参加するならすぐ心変わりして。守りたいだの何だの言ったって結局はそう!」

如何にもな物言いが癇に障る。其処らの男と同じように扱うな。
怒鳴り返そうとして鳶色の瞳が見る間に潤むのを見つけ、心の臓が跳ね上がる。

これは違う。こんな事の為に連れ立って来た訳ではない。
泣かせる為に言い出した訳ではない。口論する為に庇った訳でも。
「医仙」
「もういいっ!思ってるのは私だけだってよく分かった。支えも張りもすぐ見つかるわよ。さっきのオンニ達の喜び方見たでしょ?
あなたが来るって言っただけであんなに盛り上がってるんだから、私の心配なんて最初からいらなかったわよね!」

次々と矢のように飛んで来るその声を避けるのに精一杯で、此方が口を挟む余地すらない。
「・・・私ばっかり。私ばっかり!!」
「一体何を」

何故突然こんなにも。その心の変わり様が判らずに首を捻る。
回廊隅で幸いだ。皇宮のど真中でこの騒ぎになれば、互いに面目が立たぬ処だった。

「想ってるのは私ばっかり!毎朝キレイにしたいのも私ばっかり!支えられてるのも私ばっかり!!」
「・・・え」
「何も分からない。あなたは何も言ってくれない。だけど今日はハッキリしたわ。
行きたいのよね、ソゲッティングに。見つけたいのよね、ずっとあなたと一緒に仲良くいられる人を!」
「俺は」

言葉だけならいざ知らず、次には小さな拳が飛んで来る。
拳も良い。声の礫も。でも涙だけは駄目だ。それだけは。

「もう見つけております」

小さな拳が傷つかぬように。これ以上あなたを泣かせぬように。
敢えて胸にそれらを受けて頭を下げると、振り上げた拳の一手がぴたりと止んだ。

「もう見つけているので・・・」

こんなところで問う事ではない。そしてこの場で口にする事でも。
ただ嬉しい。あなたが涙ぐみながら教えてくれた心が嬉し過ぎて、どんな顔をして良いのか判らずに。

いつか訊く。
今ではなく、そしてこんな風に売り言葉に買い言葉の勢いではなく。

「お訊きします。いつか必ず」
「・・・何を?」
「大切な事を」
「だから大切って何を!!」
「もう少しだけ」

もう少しだけ刻が必要だ。長い長い遠廻りの途を辿った後だから。
泣き虫なあなたは真赤な目の縁に涙をいっぱいに溜めて俺を睨む。
睨んでいるうちは良い。それが零れたら今すぐ言ってしまうから。

「もう少しだけ」
「いいことでしょうね?最後にイヤなこと言われたら、私がいくら心が広くても」

心が広いが聞いて呆れる。
この方も自分でおっしゃって可笑しくなったのか、涙混じりに噴き出した。

「許さないんだから」
「・・・はい」

きっと佳き事だと信じたい。俺達二人にとって。
意地張りで泣き虫なこの方と、言葉の足りぬ俺と。
その為には先ず恋敵になりそうな奴らを排除せねばならん。

色を取り戻した景色の中で、もう一度この方に正面から向き合う。
泣かないで欲しい。次に俺が心から尋ねた時にも。
泣かずに笑顔を浮かべて、ただ一度頷いて欲しい。

「そげってぃんは」
「ここまで言ったのに。ほんとに来る気なのね」
「無論です。で」
肚に力を入れ直し、この方に向け問うてみる。
その則を流儀を御存じなのは、この方だけだ。

「邪魔者はぶちのめしても許されますか」
「・・・ちょっと、ねえ、何する気なの?」
物騒な俺の問いに、この方が顔を強張らせる。

「敵は早めに潰すに限るかと」
「て、敵って」
否と言われぬと言う事は応という事にしておこう。
歩き出した春の回廊、あなたが背から駆けて来る。

「ねえ、ちょっとほんとに。何するつもりなの?」
そう言って細い指が不安な様子でこの衣の背を引く。
それすら誰とも判らぬ他の男を案じているようで腹が立つ。
教える気はない。伝えれば、必ず止められるだろう。

「秘密です」
応えると背後から回り込み、あなたが眸の前に立ち塞がる。
幼子のように両手両足を広げて道を塞ぎ、真摯な瞳で俺を見据えて。

「まさか、ソゲッティングで暴れるつもりじゃないわよね?みんな楽しみにしてるんだから、そんなことしたら」
「迂達赤次第でしょう」

あなたもそげってぃんを隠していた。この程度の報復は許される。
そして全てを打ち明け尋ねる日、その時に心から詫びよう。
恋敵など御免だった、そうなるなら先に潰しておこうと思ったと。

一日でも一年でもなく、一生傍に。
そして誓って下さるなら、その約束であなたを優しく縛りたい。
何処にも逃げられぬように。二度と離れぬように。どの男の目にも映らぬように。
そうして一生縛っても、この方は笑って許して下さるだろうか。

春の景色に叶えたい夢を見ながら、俺達は回廊を戻って行った。

 

 

【 2016 再開祭 | 소개팅 ~ Fin ~ 】

 

 

 

 

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5 件のコメント

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    ドキドキドキ♥
    恋敵をブチのめす!
    テジャンも ウンスの周りに
    ウダルチーずが群がると…
    大笑い! 
    そっかそっか 
    テジャンの「ちょっと待ったー!」コールも(古っ)
    トキメクかもね 

  • SECRET: 0
    PASS:
    ずっと、車で、山道をくねくね走行していました。
    春の終わり…と言うより、初夏の日差し。
    緑がいっぱいです。
    木陰で車外へ。
    スマホを開いて…
    ヤッホー!!
    周りの木々も草花も、♪ですよ。
    顔を優しくなでる風は、
    フワッとした新緑の香り…

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    ソゲッティン…( ̄ー+ ̄)
    続きがみたいハニです…てへっ!
    お約束のヨンアがみんなをぶっとばして、
    バカップルさながらアマアマ熱い~二人に
    ハアッ~やれやれ~┐(´~`;)┌と
    みんなを安心させてくださいまし(笑)

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