2016 再開祭 ｜ 金蓮花・序

【 金蓮花 】

ここに手紙を隠したわ　読むのはきっとあなただけ

これを読んでいるってことは　あの人も一緒よね

あの日あの人と一緒に歩いた道を　こうして一人きり辿ってる

そう　これも覚えてる　あの日のことは何もかも

あの日の事は絶対に忘れられない

私を見詰めるあの人の真直ぐな瞳　受け止めてくれる温かい胸

そうよウンス　私は未来のあなた

ここなら100年後に見つけてくれるかもしれない
そんな奇跡が起きる保証はないけど

祈る気持ちで 後悔の気持ちを残すわ

もう何百回考えたかしら　あの日皇宮に戻っていれば

戻っていれば王妃様は助かり　王様もお心を見失わずに済んだ

そして全てを一人で背負って　荒れて行くあの人を見ずに済んだ

もう一度　もしもあの日に戻れたら

あの人を抱き締めて　あの人のあの笑顔をもう一度取り戻せたら

もしも一日だけ時間を巻き戻せたら

私みたいに逃げないで ウンス

それがあなたの、最後の日になっても

*****

心が脚を急がせる。
小さな手を引き足早に歩く掌を諌めるようにあなたが握る。
気付いてその瞳を振り返れば無言のあなたが俺を見上げる。

責めているようにも惑うようにも、止めるようにも見える瞳に黙ったままで首を振る。

足許に落ちる乾いた葉を踏み鳴らし、進む脚は止まらない。

逃げる。そう決めたなら急ぐのみ。

少しでも早く、少しでも遠くまで。

帰っていいの？本当にあの世界に帰れるの？
こうしてあなたに送ってもらっているのに、信じられない。

歩き疲れて2人で座れば、凭れさせてくれる肩がある。
いつもみたいに黙ったままで、いつも横にいてくれる。

ここに来て良かった事。分かってるのにわざわざ確かめる。

何です　何ですか　どうしてですか。その声が聞けたこと。
その声の持ち主に逢えたこと。

いつだって受け止めてくれる広い肩の持ち主に逢えたこと。
黙って必ず誰より近くで絶対守ってくれる人に逢えたこと。

確かに帰れば必ず助かる。検査1回注射1本。

でもウンス。 本当に･･･後悔しないの？

この声を、もたれる肩を、守ってくれる人を1人で残して。

ねえウンス。本当に、後悔しないの？

*****

幾つの邑を超えたのか。何処まで行けば追手が撒けるのか。

山道、林道、敢えて険しいな道、歩き難い道を選んで進む。

足許の赤や黄の葉が軽い音を立て砕け散る。
響く足音や気配を殺すゆとりすら無い。

この方を。生きて頂く為に、この方を。
これが最後の逢瀬であっても、この方さえ生きていれば。

それさえ判れば俺は良い。何があっても構わない。
あの天門の先で、何処かで笑っていると判るなら。
二度と逢えずとも、それさえ判るならば俺は良い。

あの時死ぬなと言ってくれたよう、此度は俺が言ってやる。
あの時二度と命を無駄にしないと、誓った言葉に嘘は無い。

生きろ。生きてくれ。生きてさえいればそれだけで良い。
あの時果たし損ねた約束を、此度必ず果たしてやるから。

秋の透きとおった日差し。ひらひら舞い落ちる落ち葉。
あなたに手を引かれて、そんな景色の中を無言で歩く。

何度も何度も、黙って歩くあなたを見上げる。
厳しい横顔、あたりを警戒する視線、握ったままの剣。

絶対に私の横から離れずに、全身で守ろうとしてる。
この人は今まで、いつでもこうやって生きて来たの？
こんなに張り詰めたまま、いつでも王様を、慶昌君媽媽を、他のみんなを一人で守って、ずっと生きて来たの？

ねえ、じゃあ誰があなたを守ってくれたの？
誰がそんなに張り詰めた、あなたの心を守ってくれてたの？
命をかけてみんなを守るあなたは誰に守ってもらってたの？

帰れるのは嬉しい。帰りたくないって言ったら嘘になる。

嘘になるけど･･･

ねえユ・ウンス、それは本心なの？
あんたは本心から、100%嬉しいの？

逃避行中の二人の心の動きを鮮明に書いて頂けると嬉しいです。
ドラマ通りで無くてサランさんオリジナルで！ (チェヨンラブさま）

今回のお話は、ドラマ（24話ver.）の19～20話辺りです(ネタバレからだ）
正直に言います。ものすごーーーく長いです。

何故ならばいつもの悪い癖で「ドラマ話」に「さらん解釈」が
しっかり織り込まれているからでした。
やはりオリジナルこそ正義であり神であるが故に、踏み込めぬ聖域が。
(いや十分蹂躙していますが。Minoz Japan更新したので許して下さい）

以前から読んで下さる皆さまは「飽きずにまたやってる･･･」と
新しく読んで下さる皆さまには「こいつおかしい･･･」と、
長ーい目で読んで頂ければ嬉しいです❤