2016 再開祭 | 天界顛末記・序章

 

 

【 天界顛末記 】

 

 

「ナウリ、お早く!」

全くちょろちょろと、逃げ足ばかりが早い奴だ。
我が家臣ながら呆れたものと、徳成府院君奇轍は切れる息をこらえ山道を駆け上がる。
「すぐそこです」
「判っている!お前は煩いのだ、良師!」
「ですが」

良師は不安げな目で、登ってきたばかりの山道を振り返る。
「すぐそこまで迂達赤たちが追って来ている筈です。
他の者ならまだしも、チェ・ヨンが追い駆けて来ていては厄介かと」

奇轍が舌打ちをし、同じように背後を振り返る。
「全くあの迂達赤隊長、どこまでしつこいのだ。邪魔ばかりしおって」
「こんな時にまで医仙を連れ出そうとするからです、ナウリ。
あの妖魔の言う事など出任せに決まっております。当てになるわけが」
「それならばお前は付いて来なくて良い!」
「ナウリお一人にするわけには」
「それなら黙って案内しろ、早く!」

奇轍の剣幕に黙った良師はこれ以上言っても無駄と判ったか、そのまま無言で山道を駆け上がり始めた。

 

*****

 

「この先にいる筈です。医仙に天門の開く時期を聞いていたとの事ですから」
山道を駆け上がり前方を確かめる典医寺侍医チャン・ビンの声に、迂達赤副隊長チュンソクが声を返す。
「医仙に怪我がなく何よりです」
「しかし徳成府院君を野放しにしたままでは、いつまた医仙を襲わぬとも限りません」
「医仙には今、隊長がついております。まずは徳成府院君を捕らえる事が先決かと。
その後は王様と隊長で裁く名分を、いくらでも見つけて下さいます」

日頃の鍛錬の賜物か足早に山道を駆け上がるチュンソクに、息を整えながらチャン・ビンが頷いた。
「火女たちは、徳成府院君と共に居るのですか」
チュンソクの問いに首を振ると
「トギや医官たちが見かけたのは、徳成府院君と供の毒遣いだけという事です」
「では、毒だけ気を付ければ良いのですね」

その声に頷き、チャン・ビンは山道を上がる速度を上げながら言った。
「念の為に風上には立たず、必要以上に彼らに近付かぬようお気を付けください。
徳成府院君は内功遣いですが、寄らぬ限り、隊長の雷功のように手から放つ事は出来ない」

チュンソクはチャン・ビンの声に頷き返し、握る刀を示して見せた。
「自分は剣がありますから。御医は」
「私は毒は遣いません。頼りと言えば鉄扇程度ですが、己の身くらいは守れます」

長髪を靡かせたチャン・ビンの真剣な横顔に、チュンソクも駆け上がる速度を上げた。

 

*****

 

考えてみればあれ程渇望しながら、天門まで出向いたのは初めてだ。
奇轍は不思議な思いで、目の前の光景を見つめた。

駆け上がった終点、崩れかけた石祠。
元は石仏の台座部分だったと思われる石枠の中には、見た事も無い白い光が渦巻いている。
「良師」
「は、はい、ナウリ」
良師は吹き荒れる強烈な風の中、怯えたように頬を引き攣らせ、肉の厚い瞼を小刻みに震わせた。

「参ろうぞ」
「な、ナウリ。本当にあれが天門なのですか。門には見えません。ただの光なのでは」
「散々人を遣い、調べさせただろうが!此処が天門に間違いない!
チェ・ヨンは光の中に進んで行き、天界から医仙を連れて戻って来たと」
「し、しかしナウリ、少し様子を見てからでも」
「ええい!もう良い!」

奇轍が痺れを切らし癇癪を起こしたように、脇に佇む腰の引けた良師を突き飛ばした。
良師は勢いで地面に尻餅をつき、額に青筋を立てた奇轍を見上げる。

「お前は待っておれば良い。安心だと判るまでいつまでも此処で!
私は行く。お前のような愚図の小心者の為に無駄にする刻など無い」
「判りました・・・御伴致しますから、どうか気をお鎮め下さい」
「ならばさっさと」
「徳成府院君 奇轍!!」

尻餅をつく良師を見下ろしていた奇轍が、太い声に背後の山道を振り返る。
「許しなく典医寺に押し入った咎、医仙を襲った一件にて王様より捕縛のお許しが出ている!
其処を動くな!」
追い付いたチュンソクが懐から取り出した王の勅書を握り、奇轍に向けて掲げてみせる。

「迂達赤か」
「迂達赤副隊長ペ・チュンソクだ!」
奇轍はチュンソクの掲げた勅書を一瞥すると、馬鹿にするように鼻で笑い飛ばす。
「残念だったな。わざわざ追って来たらしいが、その勅書は無駄になる」
「徳成府院君 奇轍!王命である、動くな!!」
「私は行く。こんな小国でなく、そんな下らぬ王命の手の届かぬ、欲しいものの全てが手に入る国へな」

良師がその声に慌てたように立ち上がると、奇轍の横へ貼り付くように並ぶ。
チュンソクが大きく二人へ詰め寄るのを認め、チャン・ビンはその距離が必要以上に縮まぬように、奇轍とチュンソクの間を計る。

四人は互いを射貫くような目で睨みつけ、天門前で足を止めた。

 

 

 

 

ドラマからはずれるので、パラレルで。
キチョルとヤンサと、後を追ってきたウダルチ一名とチャン先生と、天門をくぐった…
天門閉じてしまうが、ニュースが一週間後に黒点活動最大を迎えると…。
一週間何して過ごす??
キチョルは何にでも大喜びしそう。
ヤンサは超ビビリそう(ウンスを胡散臭くみてたのムカつくから見せつけたい)
チャン先生は医術を学ばせてあげたい♡
ウダルチは、誰がくるかなー? (ルイリさま)

 

 

 

 

 

 

 

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3 件のコメント

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    まさか…。(^-^;)
    ミノ君出ないですよねぇ(・・;)
    今だ、素敵な物語…忘れておりませんの
    でも…ミノ君が危ないのやだなぁーっ(^_^;)
    キ チョルですもの!(;¬_¬)

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    キチョル、あれだけの悪役いてこそのシンイかと。いやぁ、一度天界に行かせてあげたかったの(笑)
    あほなリクでムリ言ってごめんなさいー(>人<;)

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