向日葵 | 19・Interlude(テマン)

 

 

「奇皇后の私兵?なんでまた」

大護軍の部屋の隣室で隊長と俺を交え、手裏房の三人と、明日からの移動の話をした。
どの辺の敵が考えられるのかとシウルに尋ねられ、大護軍は正直に現在の予想を伝えてくれた。
シウルとチホは、さすがに少し驚いた顔をしている。

「医仙の帰還の余波か」
ヒドという男は目を閉じ、両足を卓に上げ、椅子を揺らしながら呟いた。
「そうだ」
「で、お主は問われれば認めるか。医仙が帰還したと」
退屈そうなヒドの問いに
「誰が認めるか」
大護軍は片頬で笑った。

「あの方は単なる皇宮医官。高麗各地を回り、医術を極めたのみ」
「成程。各地を、な」
ヒドのもの言いは、いちいち癇に障る。
俺はすでに一触即発状態で、大護軍の脇に控えていた。

お前に何がわかる。
大護軍は腹を刺されて死にそうになりながら、キ・チョルからも徳興君からも医仙を護って、毒を盛られた時も付き添って。
そして戻ってくるまで、四年もあの丘の上で待ち続けた。

医仙が戻らなければ、あのまま何十年でも待っただろう。
それほど大護軍は医仙を、心から大切に思ってるんだ。
それをからかうなら、俺が許さない。

「しかしそれも皇宮にいてこそ通ずる言い訳。
一刻も早く、あの方を戻さねばならん」
大護軍が続ける。
「で、俺たちの出番か」
「察しが良いな」
「何年の付き合いだと思っておる。変わらんな」
俺はその言葉を聞き、耳をそばだてた。

何年の付き合い。
大護軍は、この男とそんなに長い知り合いなのか?

俺が大護軍に出会ってから十年。
大護軍からこの男の話など聞いた事もなく、大護軍の周囲でこの男の姿を見かけた事もなかった。
大護軍が迂達赤に入って二年目からずっと側にいたけど、そんな記憶は全くない。

でもその前は。大護軍が赤月隊にいた頃は?

俺は出会う前の大護軍を全く知らない事に、今更のように考えた。
改めて目の前の男を見つめる。
ヒドというこの男、一体、大護軍の何なんだ。

 

 

 

 

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