虎だと思っていたのが灰色の鎧を付けた男だったことに、テマンは吃驚していた。
なんだ、あいつ。
恐れを感じながらテマンは自分が隠れている木に近寄って来る男の姿を、木の上からじっと見つめる。
ヨンは木の下まで歩を進めると、枝に隠れた影に声を掛けた。
「何もせん、出てこい」
返答はなしだ。
「我ら皇宮より参った。村の者か」
枝が風に揺れる音だけがする。
「何もせん。上るぞ」
ヨンはそう言うと木の幹に手を掛ける。
「隊長、良いですよ」
トルベがヨンを制して、木の下で長槍を構える。
「早く降りてこい。さもなきゃこっちから刺しに行くぞ」
テマンは木の上で頭を掻いた。
何だって、兵がこんなところまで。
何年も前に父さんたちが殺された時は何もしてくれなかったくせに、今さらのこのこ出てきやがって。
面倒だ、逃げよう。
テマンは周囲を見渡した。
枝を伝って移動できる場所に、他に木はない。
仕方ない。
ヨンは木の下から、じっと上を見上げていた。
その瞬間、枝の重なった葉陰から黒い塊が飛び降りてくる。
捕えようと咄嗟に手を伸ばした瞬間、影に思い切り噛みつかれた。
ヨンはそのまま影を追いながら鋭く声を上げる。
「チュソカ!」
「は!」
剣を構えたチュソクがその影を追って素早く移動する。
影が踏みとどまると方向を変え、チュソクの右脇を抜ける。
「トルベ!」
「はい!」
続くヨンの声で後ろに控えたトルベが大きく槍を振りかぶり、長槍の柄で影の行く手を塞ごうとする。
勢いに乗り、槍先が地面に刺さる。
その影は刺さった槍の太刀打に足をかけるとトルベの頭に飛び上り、そのまま向こう側へ飛び降りる。
ヨンは木から飛び降りた瞬間、その姿を認めた。
子供だ。
走り抜けざま、確かに己と目が合った。
走り過ぎる影を追いながら、ヨンはトルベとチュソクに声を掛ける。
「馬を置いた村で待て。すぐに戻る!
何かあれば警笛で知らせる、良いな!」
「は!」
「はい!」
影を追い走り去る隊長を見送った後、頭を踏み越えられたトルベが汚れをはたきながら
「なんだありゃ、猿か」
とぶつぶつ言う。
「いや、人だろう、多分」
チュソクが剣を鞘に納めながら、驚いたように目を丸くしている。
「えらく速いが」

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今日のクリック ありがとうございます。
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毎日、さらんさんの素敵な世界にお邪魔出来て幸せです。
今、会社の昼休みが終わるところでした。
ふたりは、出会った時から、これからの関係性が分かっていたのかも知れませんね。
なんせ、虎VS猿ですから(≧∇≦)
これで、午後の仕事も頑張れそうです。
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嬉しい~!
″テマンとヨンの出逢い編″ 詳しく読みたかったんです!なんで、テマンがあんなにヨン一途な忠臣なのか?お猿テマン、かわいいなぁ~(*^^*)♪
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トルベの槍、NO.3チュソク♥男臭くて良いですね~
テマンの俊敏さがとっても良く分かります♪トルベの頭を越えていくところなどはあぁ、子供だからきっと軽いんだなぁと想像しやすいですo(*≧∇≦)ノ
昨日はお立ち寄りいただきまして有り難う御座いました♥お目汚しで御座いましたが、コメントまで戴いてとっても嬉しかったです:*(〃∇〃人)*:
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テマンの機敏なこと。
ヨンの掛け声ひとつで反応するチュソクとトルベ。
さあ ここからヨンとテマンの鬼ごっこですね。
楽しみだ(●^o^●)
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2人が会話をしている場面を思い浮かべるだけで込み上げるものがあります
せめてトルベは死ななくてもよかったでしょう、なぜ?って思います
早くテマンがなつきますように…
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>夢夢さん
コメありがとうございます❤
お仕事中にまで・・・嬉しすぎです。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
いいですね、虎V.S猿!
可愛い❤
今晩は、甘々SWEET公開予定です。
理由は、皆様へ、をお読みくださいませー。
ヨンだったら、悲しいですが
ヨンだけに、堪えまする。
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>kumiさん
コメありがとうございます❤
小説や映像でなく、私の二次でごめんなさいな
気持ちでいっぱいですが。
私の中では、こんな感じです。
この後、可愛がって頂ける話になると嬉しいなー❤
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>ののさん
コメありがとうございます❤
トルベ、ぶん回し系ですからねーw
私の中ではぶんぶん丸、とふたつ名がついています。
とんでもないですよ、こちらこそ素敵なお話を
ありがとうございました。
チャン侍医も出てきて、心しみじみです。
また素敵なお話を読みたいです♪
廃人道を、共に歩みましょう(道連れ募集中)❤
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>イタkiss大好きさま
THE 鬼ごっこです。
この後、本気でヨンのゴングが聞こえます。
皆様が凍り付く事を楽しみに・:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
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>あみいさん
コメありがとうございます❤
確かに、トルベは。最後の最後に逆らいおった!
とも思うし、最後の最後まで誠実だった!とも。
テマナは、うーん(苦笑)
私の中ではオチがついたのですが、
皆様が大好きな愛されキャラだけに
難しい題材に挑んでしもうた!と今さら手に汗ですw
どきどきしますー!
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シンイを見出してテマンとテジャンの関係に最初に興味を持ちました
なぜ ウダルチではない 猿みたい(笑)なこの男の子はだれ?
テジャンに凄く信頼されているのは 何故?
これから どう テジャンがテマンを捕まえて自分のものにするのか(変な意味じゃないです…)
楽しみに待ってます~~~
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>ゆきんこさん
コメありがとうございます❤
確かに、いきなり市場の端を側転&
卓をハードル跳びしてるテマナを見て
ん??
と思いましたww
当時は皆、外套に首巻だったので
それほど違和感なかったのですが、
脱いだ瞬間、あらやだこの子だけ茶色っ!みたいなw
懐かしーい(≧▽≦)
余りの愛されキャラなので、私のオチで
ゆきんこさんや皆様にご満足いただけるか
ドキドキです。
楽しみ楽しみ❤
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その頃のヨンは、研ぎ澄まされてて虎の様なオーラがあったのかしら?
野生児にそう謂わしめるなんて、やはりヨンは只者ではなかった:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
迂達赤も流石ですね、良い動きをしてます(b^-゜)
どんな展開になっていくのか楽しみです。
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>mayuさん
コメありがとうございます❤
最初は、まだ赤月隊の傷が癒えず、迂達赤とも
それほど馴染めず、という設定でした。
なおかつ、一匹狼のイメージから、狼の単語も
浮かんではいました。
が。
「狼が来た」
これで始まるお話じゃ、
・・・・・・赤ずきん?
・・・・・・嘘つきな男の子の童話?
みたいなノリになってしまいまして。
おまけに、連れてったチュソクトルベが隊長に
勝手に絡む絡む。
とても「孤独な一匹狼」どころじゃありません。
で、ああいうおはなしになりました。
楽しんで頂けると嬉しいです❤
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恐れを抱きながらもヨンから目が離せないテマン。
目が合った瞬間、瞬時に追うヨン。
結局二人とも一目惚れ?
正面突破といい、無念な形で父や隊長を失っているところといい、
二人は根本で似た者同士なのでしょうか。
じっくりと楽しませて頂きます♪
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>あららさん
コメありがとうございます❤
そうですね、少なくとも今は
ヨンは任務の為、テマンは本能のまま
動いている感じだと思います。
魂が触れ合うのはさて。
よろしければ また覗いてみて下さい♪
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初コメです。
蛍袋、ヨン、チュソク、トルベ、テマンのお話だったんですね。
推理TIME、結局参加できなかったんですが、色々考えてました(笑)
チュソクとトルベはドラマの中で死んでしまい、好きなキャラだったので、泣きました
テマンはヨンとの出会いを少しだけウンスに話すシーンがありましたよね。
この愛すべき4人の男たちのお話、更新をすごく楽しみにしています。
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>kinakomotiさん
コメありがとうございます❤
そうです!24話バージョンの19話で
って、おもくそネタばらしですねww
あそこを見て以来、読みたい!観たい!
でもDVDに無く、小説にも今のところ(I/II)無く・・・
え、書けって事(違う)?
と思い、書きました。欲求のままに。
可愛がって頂けると嬉しいですー❤
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さらんさん。ゆかこうと申します。
ミンホ・ヨンに恋焦がれて もうどれくらいになるでしょう‥ 何度もDVDを繰り返し観て セリフも暗記するほど。。だけど、どうしてもラストが物足りなくて 自分の中で不完全燃焼の状態でした。
そんなとき ふとしたきっかけでさらんさんのブログを知り、アメンバーの申請もさせていただいたのですが‥
なぜか、さらんさんへのメッセージが送れずに 失礼とは思いつつ こうしてコメント欄にお邪魔させていただきました。
50代 好きキャラはヨン、そして トルベです。
1話 1話、大切に読まさせていただきます。
ありがとうございます。