ねえ、メヒョニ。
今日気が付いたの。
チェ・ヨン。あの人、私を見ていない。
私の姿の後ろにきっとメヒョニを見ている。
私が一緒にいる限り、きっとメヒョニの事を思い出す。
絶対に、忘れさせたりしない。
ねえメヒョニ。
あの人のどこを、それほど好きになったの。
それを知りたい。
私がどれほど責めても、ただ静かにそれを受け止めるチェ・ヨン。
何を考えているのか、そしてメヒョニとの間に何があったのか、本当の事を知りたい。
******
外にはしんしんと雪が降る。
ところどころに油灯の光る兵舎の薄暗い廊下。
私は忍び足で、チェ・ヨンの部屋へ向かっていく。
その扉の目と鼻の先まで届いたとき、廊下の角から影が一つ、目の前に躍り出た。
私は驚いて足を止める。
その影は油灯の中で揺れながら、私の顔を鋭い瞳でしっかりと睨み付ける。
「帰れ」
影がそう言う。
「あんたに指図される覚えはない」
「兵は呼ばない。今すぐ帰れ」
影は一歩も引かず、私の目の前に立ち塞がる。
「呼びたければ、呼べば良いわ」
そう言って私はその影の横をすり抜けようとする。
影には全く隙がなく、私の通り道を塞ぐ。
右に行こうと左に避けようと、そのまま道を塞がれる。
「お前が大護軍の知り合いに近いことは分かる。
だから乱暴にしたくない。帰れ」
押し殺した声で影が言う。退きそうもない。
兵を呼ばれて兵舎に出入りできなくなれば、またチェ・ヨン、あの人が遠くなる。
兵舎の炊事係に雇われるような幸運が、また巡って来るとは限らない。
私は諦めて、その場を立ち去る。
あの女。大護軍に何をしようとしてる。
こんな雪の夜に大護軍の部屋を訪ねようなんて。
テマンは女の気配が完全に遠ざかるまで、じっと立ち尽くして、全神経を集中する。
医仙。
早く帰ってきてほしい。そうでないと、大護軍が。
大護軍の何かが、揺れてるんだ。
テマンは医仙を思い出す。
大護軍を刺した時は殺してやると思ったが、医仙には最初から、いつでもわかりやすかった。
悔しい時は怒ってる。
悲しい時は泣いてる。
嬉しい時は笑ってる。
無理して笑ってる時は無理してると、すぐにわかる人だった。
大護軍の事を守ろうとしてる時、俺に少し、似てると思った。
俺に姉さんがいたら、こんな気持ちになるかもな、と思った。
早く帰ってきてくれ。
テマンは遠く離れたどこかを見るように、窓の外、降る雪に目を凝らす。
この白い雪の闇の中で、何かが変わってしまう前に。

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お話UP嬉しい限り‥
いつも傍にいるテマンには何か良からぬ物を感じるんでしょうね
テヒはヨンに違う感情を抱いたりするのでしょうか?
愛情と憎しみは紙一重?
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テヒは、やっと知りたいと思う様になりましたが、誰が教えるのでしょう?
弁解も何もしないのがヨン?ならば、誰だろう?
そこが、大きな糸口でもあるように思います。
ヨンの部屋まで入り込もうと、行動が大胆になってきました。
今は、テマンによって遮られましたが、どんどんエスカレートしそうです。
テマナ、しっかりヨンの周囲を護ってね。
そして、この苦痛は、何時までヨンを苛むのか?
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テマンは本当にいい子だね~、おばちゃんがヨシヨシしてあげたいわ
ヨンを守ってくれてありがとう!
テマンだってウンスを待っているんだよね♪
変な虫は取り除かないとだめだからテマンお願いよ!
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「雪割草」じっくり読ませて頂いています。
ウンス不在の間、ヨンの心を支えていたのは、テマンやチュンソクの暖かい見守りでしょう。そして、唯一、ヨンの想いを揺らすのは「メヒ」の存在。
後半のお話がとても楽しみです。
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さらん様、こんにちは❤
テマナが側に居てくれて、本当に良かった。
あの子が、ヨンの心を守ってくれている。
ヨンの苦しみが、胸に刺さって苦しいです。
テヒは、何をしようとしていたのでしょう?
普段なら、遠くの不審な気配にも鋭く反応するヨンですが、テヒの気配に気付いているでしょうか?
イムジャと呼ぶ愛しいお方に思いをはせているのでしょうか?
冷たいだけの雪じゃなく、イムジャと共に、美しく温かく積もる雪を見て欲しい。
ヨンの、イムジャを想って胸を焦がす苦痛の表情は大好きですが、涙もみせず心で血の涙を流すヨンは、とても見ていられない。
さらん様、信じております。
私にとってのあの方が、少しでも早く、愛しいひとの帰りをただ待っていられる日が来るのを。
とりあえず、しばらく厚着をして待ちますか❤
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テマン。
さすがテマン(´;ω;`)
姉さんは嬉しいよ(←誰っ笑)
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テマン!ヨンを守ってね~(T ^ T)
一体何が揺れてるの~⁈
何も知らないのに、テヒったら!!
ヨン揺れないで!
とても情景を思い浮かべやすいと思いながら読んでいます。
雪の中、切ない思いが溢れてます…
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とても辛いです。
辛いですが、感動しております。
テマンの想いに…
脳のどこかで何かキュッと締め付けられるように
辛いですが、感動しております…
さらんさん、素晴らしいです。
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>えみりんさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
テマナは、チュンソクをして
隊長の声にならない言葉までわかると
言わしめる男ゆえ。
最後まで読んだ時、ああ、と思って頂けると
うれしいなと思います。
よろしければ また覗いてみて下さい♪
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>mayuさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
テマナは命がけですから、それはもうw
誰が、どう教えるか・・・
これは、最後まで読んだ時に、
ああと思って頂ければ嬉しいです。
何をどうお話しても、ネタばれになってしまいそうで
こんなコメしかお返しできず
本当に申し訳ありませぬ・・・(;^_^A
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>あみいさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
テマナはもう・・・っっ!です。
愛らしすぎて、でかい愛玩犬にするように
ヘッドロックかけて、あの頭を
わしゃしゃしゃしゃってしたいくらい。
弟にしたいわーです(〃∇〃)
真実の一端を知ったテマナ。ここから大活躍です。
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>まあもさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
前半は、ただただ切なく書きたかったです。
嵐の前に、夢で会わせてあげたかったですが。
チュンソクモ、テマナも、良い人過ぎて
書いていても胸が・・・(ノ_-。)
後半、お楽しみ頂けると嬉しいのですが。
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>夢夢さん
こんばんは❤コメありがとうございます。
このお話は、やはり
ONLY TIMEという曲があり、そして雪が降り、
しかし春は必ず来るんだね、という。
厚着をして、しばしお待ちくださいませ❤
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>みゅうさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
そうですね、本当に テマーン(´;ω;`) です。
可愛くて仕方ありませんよ、姉さん!!
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>ルカさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
真実の一端でも、テマナにとっては十分
大護軍を護る理由になるのだろうでしょう。
皆が雪の中、切ない。
ただそんなお話を書きたかったので・・・
情景が浮かびやすいとは、嬉しいです。
よろしければ また覗いてみて下さい♪
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>わいやーさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
わいやーさまにも皆様にも、
辛い思いをさせているのだなと思うと
私の胸も痛いです・・・
しかしやはり、書かずにはいられない
私の一連のお話のこの流れ。
もうしばし、お付き合い頂ければ幸甚の至り。
よろしければ また覗いてみて下さい♪
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>さらんさん
毎日、いえいえ数分おきに覗いてます
♪( ´▽`)
切ないけど、テマンのヨンに対する気持ちが伝わる良いお話です!
楽しみにしてます!
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>ルカさん
おはようございます❤コメありがとうございます。
数分おきとはヾ(@°▽°@)ノ
そんなに楽しんで頂けるなら、
いつかヨンの呟きで、タイムラインでも
やってみたら、喜んで頂けそうですねw
楽しみにして頂ければ光栄です❤