「幽霊でも見たような顔ですよ」
女がそう言い、手にした酒瓶をチェ・ヨンの卓に置く。
「お前は」
女は目だけで笑う。
あの笑い方だ。
メヒもいつもそうして声を立てず、目だけで笑っていた。
「女相手にお前とは。色気のない武官様ですね」
ヨンは無言で、女の様子を見つめた。
女は沈黙を気に留める様子もなく、ヨンに目を当て黙って立っている。
ヨンが次の声を発したのは、暫く後の事だった。
「誰だ」
「誰とは？」
「お前は、誰だ」
女はその問いに、ふ、と息を吐く。
「誰、って」
そしてヨンの向かいの椅子に腰を掛ける。
「この楼閣の下働きです」
「誑かしはいい」
「そんな事、しませんよ」
「答えろ」
ヨンが拳で、思い切り卓を叩く。
勢いで側に置かれた酒瓶が倒れ、卓を転がり床に落ち、鈍い音を立てて砕け散る。
「何をそんなにお怒りに」
女はさして驚く様子もなく言ってのける。
「ヨン様。どうぞお収めくださいな」
ヨンア。
ヨンア。
私、うまく内功を扱えるまでは多節鞭を習得しようと思う。
メヒの声が、あの言葉が、チェ・ヨンの耳を過る。
ヨンア。
今日、隊長に褒められたよ。
ヨンア。
あんたの後ろは、私が守る。
ヨンア。
ヨンア。
ヨンは懐の銭をつかみ取り、残さず卓に置くと席を立った。
そのまま振り向かず楼閣を出る。
外に出ると、雪は少しの間に激しさを増していた。
周囲の音は全て雪に呑まれ、景色は来た時とは一変している。
吹きつける雪の中。
どれだけ目を凝らしても、戻る道はけぶって、先が見えない。
楽しんで頂けた時はポチっと頂けたら嬉しいです。
今日のクリック ありがとうございます。
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意外とあっさり登場して来ましたねぇ
向日葵で会える…それは分かっている､けど妙な胸騒ぎ
同じ顔？が近付けば､そりゃ～揺れるでしょ～
でもヨンとウンスのﾗﾌﾞﾗﾌﾞなお話までの私の試練…としましょうか
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ヨンにとっては辛い過去。
十分苦しみ、ウンスに依ってやっと癒された心の傷。
どの様に、翻弄され、再び傷付き悲しむのだろう。
それを思うと、心が痛い。
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もうここへ近づいてはいけないと思いながらまた行ってしまうのかあちらから来るのか
ヨン以外にメヒのことを知っている者がいないから誰にもわかってもらえないですね
ヨンの性格から考えても圧倒的に不利かも…
ヨン、どうか揺らがないで！
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何だか怖い。背筋がゾッとする。
何だろう、怨みの怖さかな？
とにかくヨンは逆恨みを受けているから薄ら笑いすら恐ろしい(((((゜゜;)
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本当にメヒ？メヒに似た人？
ウンスが居ない間に、チェヨンは弱った心がメヒに向いてしまうのではないかと心配です。
でも、チェヨンを信じています。
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えっ！？やっぱり、かなりヨンさん動揺してる…(泣)
大丈夫だよね？うん、きっと大丈夫!!
自分に言い聞かせてみた（笑）
ウンスさん、早く帰って来て~~~(/ω＼*)
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心配です。彼には一途にウンスを待っていて欲しいんです。メヒに似た女性にフラフラ～っと・・とは思いませんが、心惑わす事なく待っていて欲しいです。お願い～！！
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さらんさんのブログコメは承認後公開なので、コメントしたのかしてないのかわからなくなってしまいました←酔っ払いではありませんww
少なくともヨンには、相手が自分をヨンだと知っていて近付いてきたことはわかりましたよね。
頭の中がウンスでいっぱいで、雪の降るなかを出掛けたのに、結局食事も出来ず真っ白になった町をひとり帰るヨン。
今会ったひとが誰なのか、何のために近付いてきたのか、たぶん冷静に考えていることでしょう…。
ヨンに見くびるなと言われたら見くびれない私ですwww
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ちょっとコメントはご無沙汰していました。
でも変わらず、毎日、楽しく拝読致しております。
今回の作品はミステリー路線なの？
さらん嬢の作風な広さにはまたまたびっくり(*_*)
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＞えみりんさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
あっさり出てきましたねｗ確かに。
そうですねー揺れますね。
このころが一番つらいんじゃないかな･･･と。
この後は、結構どっしり構える筈です。
少なくとも、ヨンはｗ
早くLOVE話を書いて上げたいですが･･･
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＞mayuさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
確かに。
うぅむ、何を書いてもネタばれになりそうで
つまらぬコメント続出で、
mayuさま始め皆様には申し訳なく･･･
よろしければ また覗いてみて下さい♪
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＞あみいさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
確かにヨンの性格では、言い訳もせず、
理解も求めませんね。
正面突破のみです。
さあ、どうなることか･･･
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＞ののさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
ぞっとしますか？
そっち方面も、良かったかも･･･
幽霊オチとか∑ヾ(￣0￣;ﾉ
残念ながら、そういう方面ではないのですが
ただ、雪がひたすら降るお話を。
寒そうで、別の意味でゾクゾクしますｗｗ
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＞ko_sayuさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
今回は、登場も、正体バレも早いです。
もう、速攻で分かります。
ヨン、信頼されているなー。凄いなー。
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＞ゆりりんさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
ヨンさん、動揺しております。
こっからもう少し、動揺し続けます。
それ以上に常軌を逸する人が、もう一人。
良い意味で、予想を裏切れるかは
その人にかかっております。
んー、どうだろうなー。
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＞toppokkiさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
まあ、このシチュエーションなら
揺らいでも無理はないかな、と思いつつ。
フラフラ～、は、どうでしょう(;^_^A
良い意味で予想外!と思って頂けると
書いた甲斐があるのですが。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
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＞みゅうさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
はい、初コメです❤
考えるんですよね、承認制。
ただなぜか、一日いくつかは
全く感想の書かれていないC+P貼り付け系の
HP宣伝メッセが来てしまうので･･･
お話についてが一言も書かれていないものは
遠慮なく削除してしまうのですが。
今、考えてるかなー。もちろん考えてはいますが
どちらかというと、怒りか、混乱か･･･
見くびれないですよね、あの声で言われたらｗ
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＞まあもさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
いつもお読み頂いているとの事、
嬉しいです(〃∇〃)ありがとうございます❤
最近、更新ペースがちょっと上がり過ぎかな、と
いろいろ考えているところです。
ミステリー･･･全く書けないジャンルですｗ
あれこそ緻密な計算トリック祖語のない設定と
全て揃っていないと、きっと無理な気が。
私の場合、感情が先走ってしまいそう。
このお話も、結局のところ
ヨンの感情が先走り、かつ雪が降る
(うわー、意味不明ですね）お話です。
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さらん様、こんばんは❤︎
信義本編で、このシーンを見た様な錯覚を起こすくらい、リアルですね‼︎
ヨンが、やりそうで、言いそうで、しっかり声と表情が伝わって来ました。
雪の寒さを感じるほど……
メヒの姉妹ですね。
内攻使いでは無い彼女が、どんな策でヨンに対時するつもりでいるのか。
声を出さずに笑うメヒ。
遠くからでも分かるほど、明るく声をあげて笑うウンス。
全てが対照的なふたりを比べる事は意味が無いけれど、比べるまでも無く、運命の人と、そうでは無かった人とでは、明らかに違うのだと、ヨンが一番知っているはず。
どうか、メヒの姉妹も、もちろんヨンも、酷く傷付かないで欲しい。
早く続きが読みたいな❤︎
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＞夢夢さん
こんばんは❤コメありがとうございます。
リアルですか。嬉しいです(●´ω｀●)ゞ
何しろまだリアルでは雪が降るほど寒くないので
これからどんどん降る雪を、どう書こうか
苦心惨憺しております。
傷ついてほしくはないです、が･･･
んー、と悩みつつ、最終練り練り中です。
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いつも素晴らしいお話をありがとうこざいます！
さらんさんのお話をよんでいると、
描写が素晴らしくって、雨に濡れた葉の瑞々しい感じ、風の匂い、花の香り一つ一つが、まるで自分がその場にいるような錯覚に陥ります。
そして、主人公以外の目や心の動き、所作等、まるで息つかいが聞こえてくるようでもあります。
小説なのにウンスがいなくなったヨンの心情を考えてしまって、チクチク心が痛んで、切なくなって 仕事中にもかかわらず ぼお～と思い悩んでしまう自分がいます。
それほどにさらんさんの文章は読み手を引き込んでしまいますよ！
ごめんなさい(・_・、)
私は全く文章力がないので、言いたい事は沢山あるのに伝えられな～い！
これからも応援しています(^o^)
それとアメンバーの申請はもう受け付けておられないのですよね？
限定記事を読むことができないので、
すご～く寂しいです(。>ω<。)
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良いですね。
切なくなります。
アメーバ申請一番にしていただいてるので私も頑張って見ます。よければ覗きに来てください。
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＞わいやーさん
こんにちは❤初コメありがとうございます。
うふふー、嬉しいです。
今回は季節ものなので、そこがお伝えできれば❤
わいやーさまのお仕事の合間に、
息抜きにちらりと読んで頂ければ
書き手冥利に尽きます(*v.v)｡
アメンバー、お返事が返せる状態になれば
すぐにでも再開いたします❤
本当に勝手なお願いで、心苦しいばかりですが
お待ちいただければ、本当に嬉しいです(〃∇〃)
よろしければ また覗いてみて下さい♪
お仕事 ふぁいてぃんです❤❤
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＞ちよさん
こんにちは❤コメありがとうございます。
今回は、切なく悲しく。
雷功ぶっ放して、迂達赤を鍛えるだけの
超人じゃ困りますｗｗ
人間だもの（超人的な 男前ではありますが）
ちよさま ふぁいていん～(〃∇〃)❤
是非伺いますね。