2014.10.16 ■曼珠沙華さらん

曼珠沙華｜ 6

「次は典医寺に行って、迂達赤の兵舎に行くでしょ？で、マンボ姐さんたちのところ」

皇宮の庭の径。
この方は跳ねるよう前を歩きながら、振り返って指を折る。

ああ。何はともあれ、前を見て歩いて頂きたい。
今にも転びそうで、見ている此方は気が気でない。

俺はこの方の前に回り込む。
ようやく前を向いて下さったこの方に少し安堵する。
多少護りにくくはなるが仕方ない。

「トギに会って、ヒドさんたちにもお礼を言って、テマナも呼んで、みんなでご飯を食べるでしょ？」
そこまで嬉しそうに言った後ふと眉を顰め
「･･･どうしよう」
急にそう呟かれる。

「どうされました」
突然沈んだ声に慌てて問いかける。
「今晩、どこで寝よう。典医寺に私の部屋、まだあるかしら」
吐くまいと思うても、呆れた息が漏れる。
開京に帰る道すがらも布団がどうのと言っておられた。
あの時も、こうなる予感はしていた。

この方を心よりお慕いしている。嘘偽りの欠片もなく。
しかし時折この方をどのように扱えば良いのか、本当に判らなくなるのだ。

「開京に戻った後は共にとお約束した。覚えていらっしゃいますか」
こくこくとこの方が幼子の様に頷く姿を見ながら、
「では何故、何処で寝ようなどと考えるのですか」
そう尋ねると。

「･･･待って」
上げた小さな手で、俺の言葉は遮られる。
「共に、って、一緒の家にいるってこと？」
･･･それ以外に、如何な意味があるというのか。
「そうです」
「じゃあ、ルームシェア、というか、同棲？」

意味が判らぬ。
俺が首を傾げるとこの方が言い直す。
「一緒に住むって事なの？」
「如何にも」
「だって聞かれてないわ。一緒に住まないか、とか」
「聞かねば判らぬのですか」
「あたりまえじゃないの、超能力者じゃないもの！」

やはりだ。
俺はいつかのこの方のように頭を掻き毟りたいのを堪え、辛抱強く言葉を重ねた。
「イムジャ。俺と共に暮らして下さいませんか。
この後は、ずっと一緒におりたいのです」

そう尋ねるとこの方はようやく笑って
「いいわよ。一緒にいてあげる」
と言って下さった。

成程。これも天界の則か。言わねば判らぬとは。
いや、この方は色恋には疎すぎる故、言外に察するなどという芸当に通じていないのか。

本当に判らぬ。

では開京に戻れば必ずお伝えするといったあの言葉も、一より全てお話せねばならぬのか。

それは困る。

俺は溢れる溜息を、どうにか喉もとで殺す。

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ウンスかわいい♥色恋に疎いのか？それとも振り…な訳はないですね(((*≧艸≦)ﾌﾟﾌﾟｯ
そんな子供じみたウンスが可愛くて、でも頭が痛いと言う…(●´ω｀●)(●´ω｀●)
可愛い、可愛すぎる～！(≧▽≦)
又来ます～！

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