三日目の朝。
息が落ち着いてきた。
浅く短かった呼吸が、少しずつ深く長くなる。
「キム侍医」
侍医がこの方の様子を見、俺に目を移して頷く。
「もう大丈夫です。じきに目を覚まします」
ようやくこの呼吸が楽になる。
その様子を窓外から見ていたテマンが、静かに其処から離れ迂達赤兵舎に向かう。
｢もう大丈夫です、と、新しい侍医が｣
兵舎に戻って真先に、チュンソクに報告する。
チュンソクは頷き
「そうか･･･そうか。良かった」
と、溜息を吐く。
「テマナ。すまんが、チェ尚宮殿の処にも報告に行ってくれんか」
チュンソクの声にテマンは頷き、そのまま兵舎を走り出ていく。
テマンが坤成殿の門をくぐろうとすると、中から出て来たトギと危うくぶつかりそうになる。
トギが嬉しそうに笑いながら、医仙が回復したとテマンに向けその手で伝える。
テマンは強く頷き返す。
「俺も聞いた。チェ尚宮様に伝えに来た」
トギの手が、私がもう伝えたと言うのを見て安心して、トギと共に坤成殿を後にする。
冷たい冬の風が吹く中を二人で並び、日差しの下を典医寺へ戻る道すがら。
「なあ、トギ」
何だと目で問い返すトギに、テマンが言う。
「大護軍、時々すごく苦しそうだ」
不思議そうに先を促すトギの目を見ながら、テマンは続ける。
「医仙と一緒にいて、時々だけどすごく、苦しそうだ。
医仙が危ない時とかじゃない。
そういう時は、強いけど苦しそうじゃない。
二人にはいいことばかり起こってほしいのに、時々、大護軍が、苦しそうなんだ」
トギが苦笑し、テマンに手で語る。
あんたも何もわかってないと。
「何もわかってないって、なんだよそれ」
その問いにテマンが初めて見る手の動きで、トギが懸命に語って来る。
何だろう。トギは何が言いたいんだ？
テマンはその手の動きをじっと見る。分からない。
分からないことが伝わったのか、トギが癇癪を起こして、ぷいとそっぽを向く。
そっぽを向かれたら声が聞こえないじゃないかと、テマンがトギの前に回り込む。
「ちゃんと教えてくれよ。なんて言ったか」
トギはそんなテマンに笑うと、あんたにもそのうち分かる、と言う。
そうか。そのうち分かるのか。
「大護軍、大丈夫かな」
頷くトギを見て、安心して、テマンは大護軍の処に戻ろうと走り出しかけた。
その時、横のトギに気付いて少し速度を落とす。
早く戻ろう。大護軍が待ってる。
それを堪えてトギの速度になるべく合わせ、テマンは典医寺への帰り路を急ぐ。
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どんな時も、相手を思い遣り、振り返りその時の状況に合わせ、共に歩んでいく。
それが、ヨンには出来ていなかった。
ヨンが時々見せる苦しそうな様子、その意味は分かっていないみたいだから、↑なのかな？
ウンスが良くなってきて良かった。
さらんさんのヨン、さてどうするのかな？
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テマンには経験が必要ね
でも、トギを気遣うあたり‥ヨンより、はるかにジェントルマンかも( *´艸｀)
ウンスはもぉ～すぐ目覚めますか？
目覚めたら、二人の約束事‥でしょうか
たくさん食べて、しっかり眠ったら、いつものウンスさんに戻ってくれると信じてます
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ウンスちゃん、持ち直してくれてよかったです。基本はっぴーと信じていても、今回はこじれましたから。ハラハラ？イガイガ？しちゃいました。
テマンくんも、男集団の生活しか知らないから、男女の機微には疎いということで。
チェヨンくん、しっかり看病お願いね。
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ヨンの変化を見逃さない、でも一々口出しせず、じっと見守る弟みたい。トギもウンスの妹みたい。いや、しっかりしてるから、姉かも？一人っ子のヨンとウンスに必要な存在。ウンスの容体がよくなったのをすぐに周りに知らせる二人が微笑ましい。ウンスが来た頃には考えられなかった今の様子がいいですね。太陽のような明るい暖かいウンスに早くもどれますように。
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トギは何て言ってたのかな～次話で分かるのかしら。
二人は皆に愛されていますね。
みんなに心配されていたから，これで安心できたでしょう。
そろそろクライマックス。
次はウンスが目覚めてヨンと向き合ってくれますよね＾＾
あっ，こんな事ここでお聞きするのも申し訳ないのですが，
「鬼ごっこ」はどの章だったでしょうか？
沢山UPされているから，分からなくて(;^_^A
教えて頂ければ有難いです。m(_ _ )m
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本編の二人もそうですが、小さい春も見えたような?
何だかラストに向かってうふふな展開♥
又覗きに来ますφ(´ε｀●)
槍無双、終わりました～！ついでに一枚目のイラスト描けましたよ♪
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さらん様、こんにちは❤
やっと、お姫様はお目覚めになりそうですね。
無口で恥ずかしがり屋の王子様も、さぞかしホッとした事でしょう。
ウンスが目覚めたら、名前を呼んであげて欲しいなぁ(*^^)v
テマナとトギの二人もなかなか微笑ましくて。
チャン侍医が居なくなってから、トギの手振りを誰よりも理解しているのは、おそらくテマナですね。
この二人の年齢設定が良く分からないのですが、信義本編の時から、なんとなく良い雰囲気でした。
それにテマナは、素直に本質を言葉にしたりするのですよね。
大護軍と医仙が一緒に居るのは、至極当たり前の事、「山と、虎。川と、魚」の様に。
さらん様、なかなかの名言でございます(^o^)
次回は目覚めてくれるでしょうか?
UP楽しみにしています❤
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こんにちは！さらん様。
更新お疲れ様です。
昨夜はコメントのお返事が早くて、「あれ？間違えたか？私」…と
ヨンの心の迷いに気づいていたとは…
イヌは本当に飼い主の変調に敏感で、ちょっとした事でもその嗅覚で分かるそうですよ。ってテマンはイヌではありませんが‥（笑）
テマンの名前、漢字で書くと多分「大望」ですよね？ この名前になったのが分かる気がします、
さらん様、達成感→脱力感→疲労感です。
お仕事・W更新・Wコメ辺 たいそうお疲れのご様子です。さらん様をなんとか癒やして差し上げたいのですが、わたしにはそんな力も術もなく‥
無力感でいっぱいです。どうか、どうか無理をせず、お身体を労って下さいませ。
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＞mayuさん
こんばんは❤コメありがとうございます
テマナに出来て、ヨンに出来ていなかった事。
意外とたくさんあると思いますｗ
だからこそ、それを感じて
隊長時代に、あそこでテマナを連れてきた。
＠さらん設定で御座います。
今回気づく事以外にも今後もいろいろ
出てくることがあるかもですがｗ
あと2話です。今回終わったら休憩します(*v.v)｡
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＞えみりんさん
こんばんは❤コメありがとうございます
GENTLE
言われてもーた！ヨン言われてもーたです(;^_^A
テマナはシンプルに生きているので、
自然にそう言う事ができる人なのだと。
もうすぐ目覚めます。キム先生も大丈夫と
言ってるのでｗ
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＞ポチッとなさん
こんばんは❤コメありがとうございます
そうですね、疎いでしょうねーσ(^_^;)
でもその疎さすら可愛い、私の溺愛キャラ・テマナです。
これからも、ヨンとの絆は深まるばかり。
看病はもう、お任せください(〃∇〃)
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＞チェヨン1さん
こんばんは❤コメありがとうございます
テマナも雪割草で言っていました。
最初は殺すと思ったけど、いつも判りやすい人だったと。
ここに戻り、愛する大将軍がどれほど大事かを
テマナは良く知っているのですね。
だからこれからは、ウンスに対しても
愛らしく、忠誠を誓うはずです
そう、あのRunaway loveの最後で
「大将軍が心配します･･･俺に言って下さいね」
と言ったようにｗ
ああ、ようやくつながったなーという感じですｗ
長かった！
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＞ののさん
こんばんは❤コメありがとうございます
ラストにうふふはないですね･･･（;´▽｀A“
でも本編時代より、とても良い理解相手。
良師の毒にテマナが侵された時も
トギは、懸命に助けようとしていました。
いろんな形があるので何とも言えませぬが
暖かい友情が続いていくことだけは
絶対間違いないかと(●´ω｀●)ゞ
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ウンス、峠を越えて良かったよ～。ヨンも、ほっと一息ですね。
テマンは本当にヨンを良く見ているんですね。でもトギの見解とはちょっと違うよう。ふたりのやり取りがちょっと可愛いです。
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＞夢夢さん
こんばんは❤コメありがとうございます
テマナを書くにあたり、気をつけるのは一点のみ
装飾語句を、極限まで削ります。
うちの信義の中で、面倒な事、複雑な事
汚い事を全てすっ飛ばして、真実を一番見るのは
テマナだと思っているので。
ヨンは立場上、分かっていても出来ない事を
テマナに委ねている部分が、いろいろ、
＠さらん設定ですが。
目覚めます、じきに。キム侍医も目覚めると
宣言されたのでｗｗ
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＞さらんさんへ
そう言う事ですか・・・
後2回、今まで結構ハイペースでしたものね。
出張もあったし、少しゆっくりしてください。
その時に、雪割り草と吾亦紅に戻ってきます。
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＞わいやーさん
こんばんは❤コメありがとうございます
テマナはもう、全神経がヨンを向いており
おまけに野生児ですので、そんじょそこらの
わんこより、ヨンに関しては鼻も目も利きそうですｗ
私もこれ思いました。テマン⇒大望
誰の希望か、と思った時、ヨンの希望だと
私は思って、蛍袋を書きました。
だからテマナはいつも真っ直ぐ。
飾らず、ひたすらヨンに無心に仕えます。
設定上、ヨンの静に対しテマナは動、
と決めてある＠さらん秘密メモがあります。
ちなみにヨンの本能に対しチュンソクの理性、
ヨンの善に対しヒドの悪、という設定もｗ
今後出てくるいろいろな人物も、そんなどうでも良い
細かい設定ありまくりです。
判っているのです、だから疲れると（爆）
でもでも、わいやーさまのお言葉だけで、十分です❤
とっても嬉しいです。いつもありがとうございます(*v.v)｡
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＞mayuさん
再コメありがとうございます❤嬉しいです。
ペース（一日2回）は変わっていないのですが
六花あたりから、一話分の文字数が非常に増え。
更新ペースを変えるというより、お話の質自体を
変える時だなーと思っています(●´ω｀●)ゞ
書きたい中身は変えることはできませんが
暗い＆重い＆切ない系はそろそろ卒業？
大人になりました、私もｗｗ
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＞ままちゃんさん
こんばんは❤コメありがとうございます
というより、テマナが見たことの無い手の動きで
テマナ、きょとん (ﾟдﾟ)? な感じでしょうｗ
なにこれ?状態なのでしょうね。
でも、そのうち分かると言われて
そのうち分かるのか、そっかーｗな。
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＞さらんさん
お疲れさまです。
それなのにまた「来ちゃった♡」です。
「大望」の事ですが、さらん様がよくテマンの心の声を書かれる際に「大護軍には幸せになってもらいたい」と、すごくヨンの幸せを願っていますよね。
「大望」の文字を見て、そういう風にお書きになったのでは？と思っていました。
何故そう思ったのかと言えば、
「大護軍の幸せを望む」大護軍の大と望むの望で「大望」だからです←少し得意気（笑）
明日最終回ですよね？楽しみに待っております♪
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＞わいやーさん
わぁい、再コメありがとうございます❤嬉しいです。
って、そちらでしたか！
大・護軍の、幸せを 望・む方ですか(≧▽≦)
それもGJですわいやーさま！(o^-')b
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＞すんすんさん
こんばんは❤コメありがとうございます
さっき一回コメ返したのですが、
最後に気付かなかったので書き直しておきますね❤
えー、鬼ごっこは、一服処の
”Runaway Love"です。
よろしければ 覗いてみて下さい♪
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人は大人になるのつれて知識を得ていろんな経験をし 色んな物を身につける。
けれど それは良いものだけではなく 身につけてはいけなないものまで つけてしまう。
例えば、自分を守るために逃げることを覚えたり、傷つきたくなくて自分を誤魔化すこと覚えたり、
だけど そういったことを重ねていくうちに
心の鏡は曇っていき 本当に大切なものが見えなくなってしまう。
人としての基本がわからなくなってしまう。
そして心を失くしてしまう。
人の立場にたって考える。
人を思いやる心。
簡単なことなのに 自分のことが一番になると人のことが見えなくなる。
テマン 永遠の少年でいてね。
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＞haruさん
こんにちは❤コメありがとうございます
もう、テマナはいくつになっても永遠の少年でしょう。
あのテマナだけは、変わるとは思えません。
きっと死ぬまで。
ヨンを信じ、慕い、つき従い、
最強の腹心の部下の一人として。
そしてヨンに教え続ける筈です、
真っ直ぐで、きれいな心を。
その為に、ヨンが大切なものを忘れぬために
蛍袋の山で、ヨンが連れてきたのですから･･･