甥と再びまみえたのは、今より七年前でございます。
あれは、死んだ目をしておりました。
第二の家族とも呼ぶべき赤月隊の隊長も、以前お話した女子も、仲間たちも全て喪って。
その喪ったものの大きさに、口も心も閉ざしておりました。
再会の後、この七年の間。
あれの心よりの笑顔など、見たことがありません。
下手な仏師の彫った仏の像の様に
体裁だけは整っておっても、あれの中身は長く伽藍堂でございました。
心に小石をひとつ落とせば、その音だけが響き渡るほどの空洞でした。
迂達赤で いかに己を信頼する部下が増えようと。
あのテマンという弟分の山猿を拾って来ようと。
それだけでは埋めきれぬ、闇の中におりました。
貴方様を天界よりお連れするまでは。
貴方様は今、高麗にとってなくてはならない方です。
私が十の御年まで御守し、今また高麗に戻って来られた私たちの王様にとって、盤石の礎となられるお方でございます。
迂達赤隊長には王様の為、そんな貴方様をお側に留め、安全にお護りする役目がございます。
けれど甥にとっては、貴方様が宝だろうが礎だろうが、およそ関わりないのですよ。
ただ、あれが生きる為に、なくてはならない方なのです。
貴方様は。
貴方様が政の中央におられる限り、二人の道は険しいと言わざるを得ません。
あれと想いを交わしたが最後、二人ともに徳興君、府院君の的となります。
あの毒使いと蛇が、今後もどれほどの奸計を二人に仕掛けてくることか。
いえ、今の言葉はお忘れください。
貴方様が天界の方ゆえ、つい口が滑りました。
そう、貴方様は天界の御方でございます。
いずれ天界にお帰りになる貴方様ゆえ、あれの事を考えれば、応援はできませぬ。
それでも、あれは貴方様が恋しゅうてならぬ様子。
隠したつもりでおるとは、我が甥ながら愚かな。
貴方様を、求め続けておるのです。
全くどうしていいものやら。
あれは幼き頃より我儘を通した事も、駄々をこねた事もありません。
貴方様の事だけです。こんなにも人としての欲を見せたのは。
応援も出来ず、諦めろと言っても聞かず。
あれの為ではなく、貴方様の為に諦めろとそう言っておるのに。
さすがの私も憂鬱になって参ります。
ああ医仙。またそのように、抱きつくのはおやめ下さい。
子を成す事はおろか、殿方に触れた事もない私でございます。
父母に抱かれた記憶すら遠の彼方で。
思いだせるのはいつも兄君に抱きとめられた、あの樹の上の記憶くらいなのですよ。
貴方様にそのように手放しで固く抱きつかれては、どうして良いやら、分からないではありませんか。
医仙、貴方様はどうされたいですか。
お帰りになったほうが良くはないですか。
毒を二度も盛られるなど、天界ではありえぬでしょう。
あれの事ばかり考えず、ご自身の安全を御考えなさい。
あれの為に全てを捨てるより、ご自身の幸せを御考えなさいませ。
あれとて剣の道を選んだ男です。
別れがあることを納得させるしかないのではないですか。
いつもいつも、あれの事ばかり考えて。
貴方様まで、本当に私を憂鬱にさせます。
そんな、幼子のように泣くのはおやめ下さい。
洟が出てしまいますよ。
ほれほれ、全く、しようのない方だ。
【 チェ尚宮の憂鬱 ~ Fin ~ 】

【チェ尚宮の憂鬱】終了です。
ウンスに抱き付かれ、戸惑ったように
その背中をぽんぽんするあの姿が好きでした。
チェ尚宮様、良いです。
この方が出るだけで、画面に安心感がw
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今日のクリック ありがとうございます。
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あの肩ポンポンとっても好きです~!戸惑ったようなチェ尚宮、でも安心させてくれるあのポンポン。たまにヨンの座ってる膝にポンポンもいいですよね♪
二人の事が大切だから応援もできず、諭すこともできぬ叔母様は本当に憂鬱ですよねぇ(;ω;)あぁ、一体どうすればいいんだろう…ですね(*≧ω≦)
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この時代の人達は親子 兄弟 姉妹でもスキンシップがなかったんですか?
不思議で仕様が無い。
手を握るぐらいあってもいいのにとDVD観ながらいつも思ってました。
チェ尚宮さまのとまどいながら背中をポンポンするときの顔はいいですね。
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チェ尚宮いいですよね~(^-^) 大好きです!
タイトルに“憂鬱”とついていたのでどうなるの?と思ってました。二人を心配しての事だったんですね~! 優しい尚宮さまです。
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ヨンのみならず、ウンスの事も本当に心配してくれていますよね。
違う時代を生きている人間が、愛し合いどちらかに留まるなんて難しい選択。
ましてや、命に係わるとなればなれば尚更の事。
でも、ヨンの愛だけでなく、コモの様に優しく見守ってくれる人の存在も、ウンスを留まらせる一因になってますよね。
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そう言えば、驚いた顔で、おっかなびっくりウンスの背中をポンポンしてましたね。
今でも毎日、必ず信義DVDを見ないではいられない私には、今回のお話は、本編を思い出す懐かしさと幼いヨンに逢えた新しさが有りました。
チェ尚宮の語る、ヨンのウンスへの想いが切なくて、それを案ずる叔母様も切なくて…上手く言えませんがとっても良かったです❤︎
前にも言いましたが、声フェチの私は、さらんさんの小説のセリフは全て、ミンホ氏の声で聞こえて来ますので、ドキドキです‼︎
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タイトルの『憂鬱』の内容がやっとわかりました
戸惑いつつウンス背中をトントンしてあげたあのシーンはとても印象的でしたね
いつかさらんさんのお話のなかでヨンとウンスの子供(たち)がチェ尚宮に抱きつくシーンあるでしょうか
また戸惑いながら笑顔でほぼ孫の存在にトントンしてもらいたいものです
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>ののさん
おはようございます。コメありがとうございます❤
憂鬱は、これからのチェ尚宮様の関わりの前奏として
どうしても必要でしたが・・・
そして今からのお話も、どうしても必要なのですが・・・
飽 き て きました。
いえ、正しくはヨン病発症。
イムジャカップルに会いたくて仕方ない。
やばし。
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>イタkiss大好きさん
おはようございます❤コメありがとうございます。
スキンシップ、どうなのでしょうね・・・
韓国は日本以上にスキンシップが熱烈という
イメージがあるのですが。
ヨンはキャラ的にそういう接触を避けても・・・と、確かに思います。
ウンスはその分、これからやたらと
スキンシップ派になりますww
あのポンポンが書きたくて、これをチョイスしました。
しかしこの後。
ウーン。
ヨン病発症中の私としては、お話の接ぎ穂が来て
辛いところです。
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>えびにゃんさん
おはようございます❤コメありがとうございます。
憂鬱、だったと思います。
でももう大丈夫。
こっから二人にがんがん絡みます。尚宮様。
その前奏として、これ必要だったのですが
イムジャカップルが書きたくて書きたくて。
まだサブキャラ話UPが必要なのに・・・っっ
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>mayuさん
おはようございます❤コメありがとうございます
これからの三人の関係性として、これがないと
成立しないのでUPしました。
そうなんです。戻ったウンスオンニにも、絡みます。
ウンスオンニも、それをわかって頼ります。
こっから、がんがん来ます。尚宮様。
でも、今はもう他のUPが考えられず
ヨンを書きたくて堪りませぬ・・・はーあ。
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>夢夢さん
おはようございます❤コメありがとうございます。
うふふ、声フェチの同朋 夢夢さまに、
あの声が聞こえてたら、これ以上の幸せはありません。
嬉しい。
ここから他キャラ話もUPしなきゃなのに、
ヨン病発症中で考えられず。
ひたすら声が聴きたい・・・どうしよう・・・です。
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>あみいさん
おはようございます❤コメありがとうございます。
府院君の話を書く=王様の義理の父になる
=子供のお話を書く、というネタバレw(●´ω`●)ゞ
いかがでしょうか。
いろいろ逡巡中です。困った。
何よりも、今日からのUP予定に困ったです。うぅぅ。
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チェ尚宮の憂鬱、どんな憂鬱が展開されるのかとずっと気になっていましたが、その「憂鬱」は言い換えれば、ヨンやウンスへの深い愛情なんですね。チェ尚宮も人気有りますよね。それとキム・ミギョン氏あってのチェ尚宮かなとも思っています。
今作や蛍袋もそうですが、見てて引込まれるので作品のシリーズ終了が心持ち寂しくて、個人的にはもっとそのシリーズをもっと沢山見たかった、なんて欲をかいてしまいました。
それと31日の時系列の説明、解りやすくて有り難かったです。
今後出される作品への期待も高まります!
できたらば・・・のお願いですが、
この時系列を単独でいつでも観れる様にしていただけたらと。これからの事を考えるとシリーズも増えていくでしょうし、ヨンとウンスとの再会のシリーズをいちから読み返したい時、読み順番が目につくところに有ると解りやすくて良いと思います。ぜひぜひご検討いただけたら嬉しいです。
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誤)ヨンとウンスの再会からでなく、
正)「チェ尚宮の憂鬱」
からですよね。失礼しました。
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背中をポンポンと 戸惑いながらも優しく叩く
あのシーン♪ 私も好きなシーンです(*^^*)
なにか温かくて ホロッとさせる いいですね
ウンスとチェ尚宮のシーンも好きだけど
ヨンとチェ尚宮二人の
ときに可笑しく ときに真面目な
そんなシーンもたまんなかった♪(^w^)
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>らいかさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
はい!私も、あの年表はブログTOPに
別途UPを考えています。
今はお話の数もそれほど多くないですが、
今後わさわさしそうなのでww
私も、毎回終わるたびに寂しく思います。
ただ、自分の中で、これらの支流が
大きな河に流れ込んで、イムジャカップルの
話が出来上がっていくので、
ある意味、終わりというよりは、つながって広がって
続いていくための、前奏かな、と。
これから以降UPする話もそうです。
その全てを御読み頂いて、最後に野菊のラストシーンを
読んで頂いたとき、何か感じて頂けると嬉しいな。
いやあ、こう書くと壮大ですね(他人事ww
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>らいかさん
いえいえ、わざわざご訂正までありがとうございます
❤アリ ヾ(@°▽°@)ノ ガト❤
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>ちゃーちゃんさん
こちらにも❤ありがとうございます。
背中ポンポンが書きたくて、この話ができたと言っても
過言ではないというのは内緒の秘密です(爆
あの、戸惑ったチェ尚宮様の顔が良い!です。
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チェ尚宮さま、好きなんです(⌒‐⌒)
ウンスに泣きつかれ、あの戸惑ったお顔で背中をトントンとするシーン、好きでした
素敵なお話をありがとうございました
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>ミルクさん
こんばんは❤コメありがとうございます。
このお話は、逆引きのように
あのシーンが先に在り、そこから書きました。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
よろしければ また覗いてみて下さい♪
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私も(*^o^*)。
チェ尚宮様が、躊躇いながら、戸惑いながら、医仙を抱きしめ、背中をポンポンするシーン。
大好きです(*^o^*)