占見　～Everything happens for reason. ｜ 後篇

ちょっと、あの占い師ホントに当たるわけ？！
昔の男ってなによ！
悪いけど私には、自慢になるような恋愛経験はないわよ。

占いの結果に、ウンスは腹を立てていた。

恋愛経験がないわけじゃない。でも医学部入学から今まで、本当に大変だったんだから！
論文、レポート、実習に実技、研修、治療、手術、会議に資料作成、毎日どう考えたって24時間じゃ足りっこないのよ！
人間寝なきゃ眠くなるし、食べなきゃお腹もすく。お風呂に入らなきゃ汚いし、きつい仕事をすれば肌も荒れる。
それを満たすには時間だって割かれる。その中に恋愛に割り当てる時間は含まれてなかったの。

それがなによ、門が開かれる、遠くに旅立つ、開かれれば成される？
医者っていうのは原則主義者なのよー！
そんな禅問答みたいな答えじゃ全く理解できないし、何がなんだかさっぱりじゃないの！

結局運命の相手って、過去の男って誰なのか、名前を、せめてイニシャルくらい教えなさいよ！！

全くもう。

目の前でバーンと明確な回答が表示される、タロット占いにすれば良かったのよね。
10日後の学会で成果がなかったら、次は絶対そうするわ。

*****

初老の占い師はテーブルの定位置である椅子から立ち上がり、
「うーーーん！」
と息をついて、大きく伸びをした。
次に香を焚きしめた占い部屋の窓を開け、新鮮な夜気を室内に取りこんだ。

しかし不思議な占見だったな。

今日の最後の客だった、30過ぎの女性の事をふと思い出す。

インチキ紛いな占い師でも、人相見くらいはできる。
命宮、男女宮、福徳宮に夫妻宮。
恋愛は淡白、甘え下手。心根は正直で陽気。
心配りは上手く受け身、内助の効を果たす。
自分では計算高いと思っているようだが、駆け引きは不得意だ。

しかしそんな相の女性はいくらでもいる。
おもしろかったのは彼女の相が愛妾相、天下人に愛される相だったことだ。

女帝の相とも、天人の相とも違う。
かといって滅国の凶相ではない。
差し詰め国のナンバー2あたりのお大尽に愛されるような、奥様の相だな。
医者と言ってたし、玉の輿に乗るのかね？

おまけに扉を開けろと出たもんだ。
まあ青瓦台の扉を開けて、政府の官僚のお偉いさんの息子でも見つけるのだろうさ。

占い師は思うともなく思いながら、無責任に呟いた。

「当たるも八卦、当たらぬも八卦」

【 占見 ～Fin～】

今回はシンプルに、息抜きでした。

占い師役のオ・グァンノク氏は太王四神記のヒョンゴですね。
声がとても素敵です。

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