CATEGORY ■不倶戴天【長編】

不倶戴天 | 参

    「王様、おつらいでしょうね」 康安殿を辞し、この方を典医寺へと送り届ける回廊。 左右へ雪を抱く凍えた冷たい回廊に、双つの白い息が立つ。 細い指が、白い頬が、薄い耳朶が寒さで瞬く間に紅く染まる。…