CATEGORY ■雲雨巫山【長編】

雲雨巫山 | 肆

    春景色の好きだった母上の為、あの頃の父上が建てた。 すっかり紅い葉を落とした桜の木下のささやかな東屋。 向けたままの背の後、この方の寄る小さな沓音がする。 「ねえ、ヨンアってばぁ」 先程からも…