CATEGORY ■寿ぎ【長編】

寿ぎ | 17

    この方を送るだけのつもりだった。 いや、そもそもは送るつもりすら無かった。 ただ寒くて眠れずに、宵闇の庭へと駆け出した。 典医寺のあの部屋の外から扉越しの気配を確かめ、宅へ戻るつもりだった。 …