CATEGORY ■紅蓮・勢【長編】

紅蓮・勢 | 66

    「あれ、侍医殿」 医療道具の詰まった匣を手に駆けつけた地下牢。 入口に立つ背の高い兵が油灯が灯る通路のこの顔を認め、驚いたように大きな声で呼んだ。 典医寺で幾度か見かけた顔だ。ウンス殿と共にい…