CATEGORY ■紅蓮・勢【長編】

紅蓮・勢 | 60

    双城総管府の最後の夜が、音もなく忍び寄る。 白い月が空を支配する刻の窓外、兵らも今宵は明日に備え早々に引き揚げたか。 広すぎる庭の見回りの歩哨たちの行きかう影と、その足音を稀に感じる程度だ。 …