CATEGORY ■紅蓮・勢【長編】

紅蓮・勢 | 34

    夕刻、酉の刻より僅か前。なだらかな丘の上で、跨る愛馬の手綱を引く。 雄黄色を帯びた西の空、からりと乾いた夕刻の風が吹く。 ほんの目と鼻の先に見える、煤竹色に沈んだ大きな影。 門前に焚かれた篝火…