CATEGORY ■紅蓮・勢【長編】

紅蓮・勢 | 24

    「ウンスヤ」 申の刻。初夏の陽は西へと傾き、それでも金紅の空はまだ十分に明るい。 約束通り典医寺の診察室の扉から声を掛けた俺に、部屋の中あの方は振り向いた。 「お疲れさま」 笑んで近付き俺の頬…