CATEGORY ■吾亦紅 【長編】

吾亦紅 | 5

    雪を踏みしめて、いつもの薬房までの道を歩く。 いつもの癖で後ろを振り向く。 立ち木に囲まれた雪の中に残るのは私の足跡だけ。 追手はいないけれど、あの人もいない。 帰るまではなるべく目立たないよ…