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2016再会祭 | 胸の蝶・拾肆

    今年の秋霖はひと際長い。 女は朝早く、まだ周囲が暗いうちに息を殺すように離れを出で、昼に差し掛かる頃に戻って来る。 そして俺が寝ていようが起きていようが、部屋の扉前で必ず小さい声を掛ける。 「…