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2016 再開祭 | 紫羅欄花・壱

    足音を忍ばせ廊下を歩く。 左手に真黒く沈む庭から、梔子の甘く重い香りが漂う。 黒繻子の空には星も月も見えず、伸びた庭の木々の上を覆っている。 庭木の奥で気配が動く。 足を止めれば其処を行く猫の…