CATEGORY ■都忘れ 【長編】

都忘れ | 7

    ようやくわずかな空き時間。 久方ぶりに起きているあの方の顔を見たい。 康安殿から迂達赤兵舎への移動の間、俺は典医寺に立ち寄った。 「今は、あの、いらっしゃいません」 出迎えた医官に、扉の前で言…